2023年バックナンバー
雑記帳
弁護士の横領と依頼者保護給付金制度
依頼者からの預かり金を着服したり、成年後見人として預かった高齢者の財産を着服するなど、弁護士の不正が相次いでいることを受けて、日本弁護士連合会が被害者に見舞金を支払う制が導入されています。
「依頼者見舞金制度」という制度です。
着服した弁護士が有罪判決や単位弁護士会の懲戒処分を受けた場合、被害者1人当たり500万円を上限に見舞金を支給する。全国の弁護士が日弁連に納める会費を財源に充てます。
不正が相次ぐ背景には経営に苦しむ弁護士の増加があると指摘しています。
政府は、平成14年に法科大学院を創設し、司法試験の合格者数を大幅に増やし、それに伴い、弁護士の数は平成12年の1万7126人から平成27年には3万5045人と15年間で約2倍に増えました。
また、景気の影響で仕事が減り、資金繰りに困る弁護士が増えていることがあるとみられています。
私は、日本弁護士連合会が被害者に見舞金を支払うことには反対です。
日本弁護士連合会の資金は、弁護士からの会費です。
「一部の悪い弁護士のために、なぜ会費を使うのか」ということですね。
被害者は、着服横領した弁護士から損害賠償を受けるべきでしょう。
資力不足のため、損害賠償を受けられないことは、無保険や、自賠責保険のみで任意保険をかけていない自動車に衝突され、死亡したり大けがを負った被害者と同じことです。
もともと、弁護士・弁護士法人は、すべて独立・自営です。
弁護士会は、個々の弁護士に対する指揮・命令権など最初からありません。事後的に、懲戒処分ができるだけです。
弁護士会が、個々の弁護士の横領に対し損害賠償する理由はありませんし、弁護士が、日本弁護士連合会と単位弁護士会に支払う弁護士会費から、見舞金など出されたのではたまったものではありません。
弁護士会の多数派は、私と考え方が異なるようです。