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2023年バックナンバー

雑記帳

弁護士の倫理研修

 小学校、中学校のころ、学校の先生が「遅刻をしてはいけない」ということを、ホームルームのはじめに説教し、説教を聞いているのは遅刻しなかった生徒のみ、遅刻した生徒は、説教が終わったころに登校してくるということを見聞きされたことはないでしょうか。

 大阪弁護士会は「弁護士会登録時」「5年目」「10年目」「15年目」「20年目」「30年目」に弁護士倫理の研修を実施しています。
 弁護士が求められる「倫理」は、一般の方に求められる「倫理」より、かなりきびしいものです。
 また、弁護士の仕事にまつわる独特の「規制」もあります。
 そこで、弁護士会が弁護士の倫理研修を実施しています。

 もっとも、弁護士を相手にして、「強制わいせつをしてはいけない」「自転車に乗っている人を押倒して怪我をさせてはいけない」「酒気帯び・酒酔い運転をしてはならない」「判決書を偽造してはならない」などということは、いわば当然のことですし、きりがありませんから、倫理研修の対象にはなりません。

 ただ「依頼者から預かった金品を横領してはならない」と「そのまま」の研修内容はさすがにありませんが、「横領と疑われるようなことをしてはならない」「具体的には、以下のことをしたら横領と疑われるから、やってはいけない」などの研修内容はあります。

 もっとも、「5年目」「10年目」「15年目」「20年目」「30年目」の倫理研修に、ちゃんと出席する弁護士は、あまり問題がないというのが普通です。
 「一事が万事」ですから「決められたことをちゃんとする」弁護士は、通常、問題がありません。また「やましいことをしていなければ」、倫理研修に堂々と出席できます。
 問題は、倫理研修に出席しない弁護士です。
 基本的に「やましいことをしている弁護士」「決められたことを守らない弁護士」が、倫理研修に出席しないことになり、そのような弁護士が、不祥事をおこす可能性も高いということになります。

 学校の先生が「遅刻をしてはいけない」ということを、「遅刻をしていない生徒」に説教する、ということを弁護士会もしているのですが、効果的な「対策」はないようです。

 ちなみに、懲戒で多いのは横領です。
 まんべんなく全世代に見られます。
 ベテランのトップは横領だそうです。
 若い時、報酬が1000万円や2000万円の事件をした成功体験が「あだ」になっているのでしょう。
 いったん上がった生活レベルを下げるのも大変でしょう。
 逆に、若い弁護士の懲戒に多いのは、職務怠慢のようです。受任はしたものの、仕事ができずに、事件を放置しておくというものです。
 できないとわかった時点で、着手金+詫び金を依頼者に返却したらと思うのですが、その金もないケースがあるようです。
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