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雑記帳

公文書の「、」と「,」

 公文書の読点に使われている「,」について、文化庁が見直しの検討を始めました。
 文化庁は文化審議会国語分科会の小委員会で、コンマについて問題提起しており、専門家が、令和5年春にも結論を出す見通しです。

 民間では広く「、」で記載されていますが、中央省庁では昭和27年の通知に従い「,」で書くようルール化されています。

 ただ、約70年を経て、中央省庁でも「、」を使う文書が増加、専門家会議で議論が進んでいます。

 コンマの使用は昭和27年4月、当時の官房長官が各省庁の事務次官に通知した「公用文作成の要領」で定められました。
 公文書は「なるべく広い範囲」で左横書きとし、句読点には「,」と「。」を使うと明記されました。

 文化庁国語課によりますと、議論の過程では戦後広まった英語にならい、句点に「.」の使用も検討されましたが、見やすさから「。」に落ち着いたという経緯があります。

 常用漢字表など一部改訂された部分以外、句読点を含む要領のルールは現在も効力を持っています。
 法令や各団体への通知など公文書のほか、学校教科書でも「,」が使われています。
 しかし、要領に強制力はなく、一般社会では「、」が広まりました。

 「、」の使用は公的機関にも浸透しつつあります。
 平成24年、省庁や地方自治体を対象にしたアンケート結果によりますと「,」と「。」で統一している省庁は4つ、都道府県・政令市では7つにすぎなかったそうです。
 ワープロやパソコン入力が広まった平成はじめころから、コンマは徐々に廃れていったようです。ワープロやパソコンソフトの規定値(デフォルト)は「、」と「。」になっています。

 裁判所の判決書や決定書は「,」と「。」ですが、違和感があります。
 「、」と「。」あるいは「,」と「.」の組合わせが本来の記載方法のように思います。

 ちなみに、判決書や決定書が、A4横書きになったのは、平成13年のことです。

 それまでは、B4判縦書き袋とじになっていました。縦書きですから「、」と「。」になります。私が、裁判官として書いた判決書や決定書は、すべて「、」と「。」です。

 平成13年に、判決書や決定書がA4横書きになったときに「,」と「。」になりました。
 私を含めた弁護士が提出する訴状や準備書面は、公文書ではありません、たいてい「、」と「。」です。たまに、「,」と「。」と書く弁護士もいます。

 他の弁護士と、一緒に事件をしているとき、すべて「、」と「。」の準備書面と、すべて「,」と「。」の準備書面が両方あるという事件もあります。どの弁護士が当初の案を起案したかということですね。
 さすがに、同じ準備書面に「、」と「。」と「,」と「。」の混在はしませんが・・
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