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2021年2022年バックナンバー

雑記帳

紙幣と肖像

 どこの国の紙幣でも、通常、その国の歴以上の人物や元首の肖像画が描かれています。
 日本、アメリカ、中国などすべて同じですね。

 紙幣に肖像画を描くのは「偽造防止」の役割が大きいといわれています。
 確かに、肖像画は見慣れていますし、稚拙な偽造なら、簡単に見破れます。

 また「ひげ」を描くと偽造がしにくいため、男性の肖像画が選ばれるという例が多かったのですが、偽造防止技術の発展により、「見た目」より、「すかし」や「ホノグラム」が真贋の判定に用いられるようになったため、女性の肖像画も、登場するようになりました。

 日本でも、樋口一葉像の5000円紙幣、古くは、三韓征伐の神功皇后が肖像画に描かれていました。

 紙幣には肖像があるとの常識に、大きな例外ができました。
 ユーロ紙幣です。

 ユーロ紙幣は、500ユーロ紙幣(廃止済み)、200ユーロ紙幣、100ユーロ紙幣、50ユーロ紙幣、20ユーロ紙幣、10ユーロ紙幣、5ユーロ紙幣がありますが、いずれも人物の肖像画がありません。

 さまざまな国の人々の間で使われるお金なので、特定の国の人物の肖像を使うのを避けています。
 そして、ギリシャ・ローマ時代から現代まで各時代の「架空」の建造物が描かれています。

 やはり、「すかし」や「ホノグラム」が真贋の判定に用いられるようになったため、肖像画である必要はなくなったのですね。

 ユーロ紙幣は、裏面にヨーロッパの詳細な地図が描かれているのも特徴です。ヨーロッパ大陸の地図はもちろん、スペインのカナリア諸島など小さな島々まで記載されています。もちろん、遠く離れた植民地は別です。

 また、ヨーロッパ各国で使われるお紙幣や硬貨すべてを一箇所で製造・印刷しているわけではなく、それぞれの国ごとに作られています。紙幣に刻印されている12ケタの記号・番号を見ると、一番最初のアルファベットでどの国で作られたものかが判断できます。

 なお、印刷技術は、ドイツが世界一といわれていました。
 現在はどうなのでしょう。

 また、日本の紙幣は、ドイツの印刷技術を導入した(初期のころは、ドイツで印刷してもらっていたそうです)のですが、日本の「紙幣」は立派で見栄えがします。

 外国人に1万円札を見せると、その「豪華さ」とともに、「10000」という「とんでもない」桁数の数字をあわせて、かなりの「高額紙幣」と思われることがあります。
 換算して、価値をいうと「な~んだ」という顔をされます。

 ただ、1万円という高額紙幣が、平気で用いられている国はあまりありません。
 私の知っているところでは日本の他、スイス(スイスフラン)くらいでしょう。

 アメリカ、中国、韓国などに1万円札程度の価値のある紙幣は最初からありませんし、ユーロやスイスフランには紙幣はあるものの、まず、お目にかかることがありません。
 高額紙幣は、偽札であった場合の損も考えて「釣りがない」と受取りを断られるのが「落ち」です。
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