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2021年2022年バックナンバー

雑記帳

シンガポールは「明るい北朝鮮」

 シンガポールの元首相で、建国の父とも呼ばれるリー・クアンユー氏が、平成27年3月24日に死亡しました。
 シンガポールは、別名「明るい北朝鮮」ともいわれています。

 シンガポールはマレー半島の突端に位置する東京23区ほどの大きさしかない都市国家です。
 もともとは英国領でしたが、太平洋戦争中は「昭南島」日本が占領していました。
 終戦後、シンガポールはマレーシアの一部として英国から独立を果たしますが、マレーシアでは、中華系とマレー系の対立が激しく、シンガポールは事実上、マレーシアから追放されてしまいます。

 天然資源がほとんどありませんから、リー氏は国家を自立させるために徹底した工業化を進めました。
 日本や米国から資本を導入し、国家主導でインフラを整備し、工場を誘致しました。
 教育に力を入れ、優秀な若者は次々と外国に留学させて、最新の手法を導入していきました。
 工業化が一段落すると、今度は金融ビジネスに舵を切り、シンガポールをアジア有数の金融センターに成長させました。
 シンガポールのの1人あたりGDPは、日本を遙かにしのいでいます。

 シンガポールは単純労働を行う移民は期間限定での受け入れとし、永住を認めない一方、外国のエリート層や資産家に対しては積極的に移住を推奨しています。
 日本からもエリート層や資産家の一部が、男女平等のビジネス環境や安い税金に惹かれてシンガポールに移り住んでいます。

 シンガポールは、前記のとおり、単純労働を行う移民は期間限定での受け入れとし、永住を認めていません。

 シンガポールでは、国への投資を実施する外資駐在員と、国民がやりたがらない仕事を担う建設労働者・家政婦(メイド)などを代表とする単純労働者移民とは、共に必須と認識されています。

シンガポールの単純労働を行う移民に課せられている制限は、以下のとおりです。

1 永住権の申請資格が無い
2 扶養者用のビザを発行せず家族を呼び寄せられない
3 家政婦用のワーキングプログラムでは、女性が妊娠すればビザキャンセルによる国外退去
4 シンガポール人やシンガポール永住権保持者との結婚には政府許可が必要

 単純労働者が、リタイア後を含め永住や長期滞在すると、単純労働者は国への貢献より、国が付与する社会保障がトータルで大きくなる可能性が高いといえます。

 そのため、制限した労働条件への合意のもとで、一定期間を移民として受け入れています。

 妊娠した女性が国外退去となるのは、家政婦用就労ビザではシンガポール人や永住権保持者との既婚の場合を除き、妊娠・出産が許されていないためです。
 これにより、子供の滞在ビザが発行されず不法滞在となるのが避けられます。

 結婚許可も、結婚するシンガポール人が扶養するのに十分であり、国の社会保障への依存が少ないのを確認するためと考えられます。

 日本は、シンガポールと異なり、人口の多い経済大国であり、また、民主主義国ですから、シンガポールと同列には論じられません。

 ただ、日本が、表だって移民を受け入れるなら、シンガポールの政策を参考にすることは、必ずしも悪いことではありません。


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