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2021年2022年バックナンバー

雑記帳

年金の繰上受給と健康年齢

 老齢基礎年金も老齢厚生年金も受給の開始は原則65歳です。
 60歳から65歳の間に受け取ることも可能です。これを繰上受給といいます。

 繰上げ受給を選択すると、月単位で年金が減額される仕組みになっています。

 現在の減額率は0.5%×繰上請求月から65歳になる月の前月までの月数です。
 60歳ちょうどで繰上受給をすると、年金が30%減額することになります。
 60歳から繰上げ受給する場合、現行の減額率だと、76
歳8か月を過ぎてから、65歳からの本来受給の総額を下回ることになります。

 令和4年4月から、現在の減額率は0.4%×繰上請求月から65歳になる月の前月までの月数です。
 60歳ちょうどで繰上受給をすると、年金が24%減額することになります。
 60歳から繰上受給する場合、令和4年4月からの減額率だと、81歳10か月を過ぎてから、65歳からの本来受給の総額を下回ることになります。

 つまり現行より4年程度損益分岐点に達する年齢が遅くなり、年金の繰上受給の選択がしやすくなるということです

 厚生労働省は、令和3年12月20日、介護を受けたり寝たきりになったりせずに日常生活を送れる期間を示す「健康寿命」が、令和元年は、男性72.68歳、女性75.38歳だったと公表しました。
 前回調査の平成28年(男性72.14歳、女性74.79歳)から男性は0.54歳、女性は0.59歳のびたことになります。

 前記のとおり、60歳から繰上受給する場合、令和4年4月からの減額率だと、81歳を過ぎてから、65歳からの本来受給の総額を下回ることになります。

 健康寿命が、令和元年は、男性72.68歳、女性75.38歳ということですから、男女をとわず、65歳からの本来受給より60歳から繰上受給したほうが、男女を問わず、介護を受けたり寝たきりになる前の受給額の総額が多くなります。

 自分がかけた年金ですから、自分の健康なうちに使わないと損のように思います。
 ただ、子孫の負担も考えると、男女とも平均寿命は81歳を超えていますから、繰上受給は損ということになります。

 なお、繰上受給の判断は、60歳になってからでないとできません。
 60歳まで生きたとすると、当然、平均余命は、平均寿命引く60歳ではなく、男性の場合、23.97歳、女性の場合29.17歳となります。
 ということは、厳密に考えれば、平均してあと何年生きられるかは、判断する60歳時の平均余命です。
 ですから、繰上受給をしない方に、若干、傾きます。
 ただ、やはり、元気なうちに繰上受給をしたいですね。

 ちなみに、私は、弁護士としての収入があるので、繰上受給はしていません。

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