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2021年2022年バックナンバー

雑記帳

「送りつけ商法」の規制強化

 令和3年7月6日送付分から「送りつけ商法」の規制が強化されました。

 改正特定商取引法の施行に基づく措置です。
 注文していない不審な商品が一方的に送りつけられた場合、代金を支払わず、すぐに捨てても構わなくなりました。

 「送りつけ商法」は、紳士録、健康食品、魚介類など手を替え品を替えて繰り返されてきた悪徳商法の一つです。

 宅配便を受け取ったり、開封したとしても、売買契約は成立しません。
 しかし、令和3年7月5日までの送付分までは「14日間ルール」がありました。
 送りつけられた側が14日間にわたって商品の購入を承諾せず、業者も引き取りをしなければ、業者は返還を請求できなくなるというものです。

 しかし、魚介類など腐食するものを14日間保存しておかなければならないというのは合理的ではありません。
 法改正によりこのルールが撤廃され、受け取った側が直ちにその商品を処分できるようになりました。

 捨ててもかまいませんし、そのまま食べたり、使ったりしても構いません。
 その場合でも、業者に連絡したり、代金を支払う必要は一切ありません。
 送りつけた業者のほうが悪いということです。

 同封された請求書に「不要な場合は送料元払いでお返しください。返送がなければ購入したとみなします」と書かれていても、無視して構いません。

 ただし、その際は、送り状の送付者名や連絡先のほか、開封した荷物を何枚かスマートフォンで写真撮影しておことをお勧めします。
 スマートフォンの写真には、非表示に設定しないかぎり、撮影日時と撮影場所が記録されています。

 最寄りの消費者生活センターに通報しても構いません。
 相談の記録が残るので、注文したものではないという証明になります。

 ただ、トラブルに巻き込まれないためには、不審な宅配便などは受け取らないのが賢明です。
 1人暮らしなら、注文したものかどうかはわかりますね。
 家族がいる場合、家族が自分の名前で注文したとの可能性があります。
 心当たりのない配達があれば、いったん受け取りを「保留」にすればよいのです。
 不在扱いで持ち帰りになるから、家族が注文したものだと分かった段階で再配達を依頼し、改めて受け取ることができます。


 その昔「送りつけ商法-ネガティブオプション」というコラムを書いています。時事ネタのみ変えています。
 時代の流れの早さを痛感します。


 注文もなく勝手に商品を送りつけ、請求書も送付してくるという業者がいます。
 ネガティブオプションといいます。
 もちろん、購入したいような商品なら、商品を購入して代金を振り込めばいいのでしょうが、そうでない場合はどうすればいいのでしょうか。

 特定商取引に関する法律59条に定めがあります。
「1 販売業者は、売買契約の申込みを受けた場合におけるその申込みをした者及び売買契約を締結した場合におけるその購入者以外の者に対して売買契約の申込みをし、かつ、その申込みに係る商品を送付した場合または申込者等に対してその売買契約に係る商品以外の商品につき売買契約の申込みをし、かつ、その申込みに係る商品を送付した場合において、その商品の送付があつた日から起算して14日を経過する日(略)までに、その商品の送付を受けた者がその申込みにつき承諾をせず、かつ、販売業者がその商品の引取りをしないときは、その送付した商品の返還を請求することができない。
 2 前項の規定は、その商品の送付を受けた者のために商行為となる売買契約の申込みについては適用しない。」

 ということで、14日間そのまま開封せず保管すれば、商品は自分のものになり、代金も支払う必要はなくなります。
 逆に、14日の間、商品を開封・使用したりしてしまいますと、購入の意思があったものとして代金を支払う必要があります。

 この場合の注意点をいくつか述べておきます。

 まず、本当に14日間何もせず保管して、14日間経過後に開封したとしても、「14日間商品を何もせず保管して、14日間経過後に開封・使用した」という証明ができるのでしょうか。
 業者が「何も証拠がないなら、14日間経過前に開封・使用したとして料金を払え」と請求してきて面倒なことになるかも知れません。
 簡単な方法は、14日間経過し、しばらくした日に(14日経過した翌日や、翌々日は危険でしょう)、大きい見出しのニュースがあったとき(例えば「東京オリンピック・日本ソフトボール優勝」など)、その新聞と、開封前の商品を、いろんな角度からツーショットで写真撮影し、プリントアウト(あるいは現像)しておけば、その翌日には、まだ商品が未開封であったことを証明できます。開封していく過程もツーショットで写真を撮っていきます。
 念のために、到着した日の新聞一面と、送られてきた商品をツーショットで撮影しておけば、到着した日も証明できます。

 次に、送りつけられた人が事業者であり、その事業に関係した商品の場合などは、14日間何もせず経過しても、商品は自分のものになりません。
 例えば、法律事務所に法律の本を送りつけるような場合です。
 さすがに、法律事務所に、頼みもしない法律の本を送りつける業者はないでしょうが、法律に詳しくない零細な小売業者に狙いをつけて商品を送付する悪徳業者はあとを絶ちません。
 この場合は、商品受取人払いで、宅配便で返送すればよいということになります。

 なお、いずれにしても、紛争に巻き込まれたくないのであれば、商品受取人払いで、宅配便で返送すればよいでしょう。
 いくら証拠を固めているからといって、遠方の業者が、訴訟を提起した場合、これに応訴するのは面倒です。
 「君子危うきに近寄らず」が正解だと思います。

 なお、不幸にして訴訟を提起されたのなら、迷わず、証拠写真を持参して弁護士に相談にいってください。
 自分の住所に近いところに、裁判を「移送」してもらうことも可能ですから、弁護士に、遠方に出張してもらって旅費・日当を払う必要がないとは思いますが、弁護士に対し、相応の着手金・成功報酬は支払う必要があります。


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