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2021年2022年バックナンバー

雑記帳

給与振込口座

 自己破産などで、転職をくりかえしていたり、派遣で仕事をしている人に、預金通帳をもってくるように指示すると「山のように」預金通帳を持ってくる人がいます。
 大抵は、使われていない「休眠口座」です。
 なぜ、転職をくりかえしていたり、派遣で仕事をしている人が、預金通帳をたくさん持っているかという理由は、勤務先、派遣先が、給与振込用に、特定の銀行、特定の支店の預金通帳をつくるよう指示するからです。

 同一銀行、同一支店なら、通常、振替手数料は通常「0」円です。

 勤務先、派遣先が、特定の銀行を指定する理由の一つとしては「ケイレツ(系列)」があります。
 大企業の場合、旧財閥系など特定の銀行と系列があるため、その銀行を指定します。
 特定の銀行員が、特定の銘柄のビールしか飲まないというのは有名な話です。
 また、地方公務員の場合、地方公共団体の指定金融機関を給与振込み口座に指定するように勧めることが多いです。

 次に、勤務先、派遣先が、さほど大きな企業でない場合は、その企業のメインバンクを指定することが多いのです。
 企業としては、借入れの大きい、いわゆるメインバンクのために便宜をはかり、条件のよい融資を受けようとするのです。
 なぜ、従業員の預金口座を、メインバンクにつくらせようとするのでしょうか。

 まず、銀行としては、給与振込み口座を作ってもらえば、給与振込みだけではなく、定期預金をしてもらえる可能性があり、銀行ローンを利用してもらえる可能性もあります。各種公共料金の引落・クレジットの引落口座に指定してもらえるでしょう。
 また、ゆくゆく退職金というまとまった収入が入れば、大口の定期預金をしてくれり、投資信託を購入してくれることになります。
 いわゆる「囲込み」です。
「銀行にそれだけの便宜をはかるから、みかえりに、条件のよい融資をしてくださいね」ということですね。
誰が損をするわけではありませんし、万事めでたしめでたしというわけです。

 とはいうものの、銀行は不景気になりましたね。
 支店はなくなるわ、ATMはなくなるわで大変です。

 自分のことを顧みれば、弁護士としての仕事関係では、事務員が未だに銀行預金の窓口を利用していますが、個人の振込ということになると、振込はインターネットだけになってしまいました。

 ちなみに、私は、給与の自動振込みをしていた時期は知れています。
 修習生は手渡しでした。
 裁判官からになってから(昭和55年)、退官するまで(平成2年)も手渡しでした。
 さすがに、1982年(昭和57年)6月から、1984年(昭和59年)6月までのドイツ留学中の2年間は、自動振り込みでした。報酬を受取るため日本に帰国していては、報酬がふっとんでしまいます。
 イソ弁をしていたときも手渡しでした。
 独立してからは、給与を振込む側になってしまいました。

 今、ネット銀行が振込先というのも多くなりました。
 電子マネーでの支払いもなされるようです。

 時代ですね。もっとも、預金通帳の横に、鉛筆で出入金の振込先、入金先、入金先が保険会社であれば、どの依頼者かということが書けますが、必要はないのでしょうか。
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