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2021年2022年バックナンバー

雑記帳

来年度防衛費が初めて6兆円を超える見込み

 来年度の防衛費が初めて約6兆円を超える見通しです。
 北朝鮮・中国など周辺国のミサイル基地を直接打撃する「敵基地攻撃能力」(反撃能力)に必要な装備も大挙導入されます。

 防衛省は、令和4年8月31日、令和5年度の防衛費要求内訳を盛込んだ「我が国の防衛と予算」資料を出しました。
 令和4年度より3.6%増えた5兆5947億円を要求したと明らかにしています。
 この金額は、項目が示されただけで予算要求額が提示されていない「事項要求」を除外した金額です。「事項要求」は、予算を要求する時点で金額の予測が難しい場合に利用されます。

 防衛省は、「事項要求」の防衛力強化策を100項目規模で盛り込みました。
 令和4年末に決まる最終的な予算は、国内総生産(GDP)比1%を超える6兆円台半ばが視野に入る」と報道されています。
 令和4年度(5兆4000億円)の防衛費より20%程多く、1兆円以上増加するわけです。
 令和4年末までに国家安全保障戦略、防衛計画大綱など日本の防衛戦略の大きな枠組みを定める重要文書が改正されるため、これを反映するために「事項要求」予算が増えたということになります。

 防衛省は、令和4年8月31日、ロシアのウクライナ侵攻、台湾海峡の緊張高揚、北朝鮮の核・ミサイル開発を指摘したうえ、「国際社会が新たな危機の時代に突入した。日本の安保のために5年以内に防衛力を根本的に強化しなければならない」と強調しました。

 政府は現在、国内総生産の1%水準である防衛費を、5年以内に2%以上へと増額する政策を推進しています。
 浜田防衛相も「2023年度予算は、その初年にふさわしい予算規模を確保する必要がある」と述べました。

 令和4年末に予算額が確定する「事項要求」には、「敵基地攻撃能力」保有のための長距離打撃能力とミサイル防衛システム拡充などの内容が盛り込まれました。
 防衛省は、射程距離200キロメートルの既存の「12式地対艦誘導弾」を1000キロメートル以上にする作業を進めています。
 長距離巡航ミサイルを、地上からのほか、新たに建造するイージス艦2隻に配備する案も推進中です。
 防衛省は、長距離ミサイルを開発して1000発以上保有し、中国を牽制するために南西諸島と九州に配備する方案を検討しています。

 政府は、中国・ロシア・北朝鮮などが開発・配備中の極超音速兵器の開発にも乗り出します。
 防衛省は、超音速ミサイル研究を新規事業として含めました。
 超音速ミサイルは、マッハ5(時速約6120キロメートル)以上の速度で飛行し予測不可能な軌道を描くため、従来のミサイル防衛システムでは迎撃が容易ではありません。
 日本は、令和4年1月に、アメリカと極超音速ミサイルなどに対応する研究を進めるための協定を締結しています。
 攻撃型小型無人機導入のための予算項目も設けられました。

 国内総生産の1%水準である防衛費を、5年以内に2%以上へとするために、どれくらいの増加率があればよいでしょうか。

 72の法則という便利な公式があります。

 お金をある一定の利回り(パーセント表示)で複利で運用する場合、元本が2倍になるにはおよそ何年かかるかを計算する公式です。
 つまり「72」÷「複利の利率」=「元本が2倍になるのに必要な年数」となります。
 毎年14.4%の防衛費増なら、72÷14.4=5ですから、5年で防衛費を2倍にするためには、毎年、前年比14.4%ずつ増やさなければなりません。

 令和4年の防衛費が約5兆4000億円ですから、前年比14.4%ずつ増やすとして6兆2000億円、6兆円台半ばなら問題ないでしょう。


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