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2021年2022年バックナンバー

雑記帳

北欧2か国NATO入りにトルコ難色

 フィンランド政府は、令和4年5月15日、NATOへの加盟申請に向けた報告書を採択したと発表しました。
 スウェーデン政府も令和4年5月16日、NATOへの加盟申請を決定したことを発表しました。

 フィンランドとスウェーデンのNATO加盟表明に対し、トルコのエルドアン大統領が難色を示しています。

 全会一致でないとNATOに加入できないのがおかしいという意見もありますが、他の国が侵略を受ければ戦闘義務を負うことになり、非友好国や敵対国の防衛義務を負うことを強制することはできませんから、全会一致でないと困ります。

 トルコのエルドアン大統領は、令和4年5月16日、北大西洋条約機構(NATO)加盟を目指す北欧スウェーデンとフィンランドに対し、加盟承認の条件として、対トルコ武器輸出制限の解除を要求し、「トルコに制裁を科すような人々にYesと言うことはできない」と警告しました。

 トルコの理屈にも一理あります。
 NATOという軍事同盟において、ある加盟国が、他の加盟国に武器輸出制限をするということは理屈に合いません。

 また、トルコは、トルコ内のクルド人武闘派独立勢力をテロリストと呼び、フィンランドとスウェーデンは、トルコ内のクルド人武闘派独立勢力に支援しないことも求めているようです。フィンランドとスウェーデンは、クルド人に武器供与や資金供与や軍事情報提供をしているわけではありません。

 どちらが正しいとはいえませんが、フィンランドとスウェーデンとトルコ内のクルド人武闘派独立勢力とは全くといっていいほど利害関係がなく、フィンランドとスウェーデンとトルコ内のクルド人武闘派独立勢力の人をかくまうなどの支援を止めればよいだけです。

 トルコは、トルコは1936年の条約によりボスポラス海峡とダーダネルス海峡を管理していて、戦争中や戦争が差し迫った際に軍艦の航行を制限できます。

 ウクライナ政府は、ロシア艦がボスポラス海峡とダーダネルス海峡を通過して黒海に入るのを禁止するようトルコ政府に求めていました。
 トルコは、令和4年4月27日、ロシアによるウクライナ攻撃を「戦争状態」と公式に認め、ロシア艦がボスポラス海峡とダーダネルス海峡を通過して黒海に入るのを禁止措置をとっています。

 ロシアは黒海艦隊を、修理等のために黒海外に移動することはできませんし、新たな艦隊を黒海に移動させることができません。
 トルコは、ロシアは黒海艦隊を黒海に閉じ込めるという「いい仕事」をしています。

 確かに、現在のエルドアン大統領は専制的な動きをしていますが、NATOにとって重要不可欠です。
 ボスポラス海峡とダーダネルス海峡を押さえ、ロシアの黒海からの進出を阻み、また、モスクワを南の方から牽制できる貴重な存在です。
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