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雑記帳

ドイツ連邦首相、地方選連敗で逆風 人気低下、緑の党に押され

 令和4年5月8日、ドイツのシュレースヴィヒ・ホルシュタイン州で州議会議員選挙が実施され、ショルツドイツ首相のSPD、シュレースヴィヒ・ホルシュタイン州議会議員選挙で敗北したことは前回のコラムにて記載しました。。

 SPDは、令和4年5月15日のノルトライン・ヴェストファーレン州(ノースライン・ウェストフェリア州)の州議選で、過去最低の得票率を記録し、2大政党のライバル、キリスト教民主同盟(CDU)に完敗しました。

(今回の選挙)
CDU 76議席
SPD 56議席
緑の党 39議席
FDP 12議席
AfD 12議席
195議席

(2017年選挙)
CDU 67議席
SPD 99議席
緑の党 29議席
FDP 22議席
諸派  20議席
199議席

 シュレースヴィヒ・ホルシュタイン州は人口が少ないので、あまり問題はありません。
ノルトライン・ヴェストファーレン州は、ドイツ最多の1800万人、ドイツ全体の22%を占めています。
 ノルトライン・ヴェストファーレン州は、州都デュッセルドルフをはじめ、ケルン、ドルトムント、エッセン、暫定首都で私が留学していたボンも州内にあります。

 地方議会の議席は、連邦参議院の議席に関連しますから、国政に影響はないことはないのですが、各州3名から6名までの議席の範囲内ですから、影響は知れています。

 ノルトライン・ヴェストファーレン州の選挙はドイツ最多の州で、国政選挙の議席も多く、比例代表の票数も多いですから、いわば「小総選挙」に位置付けられ、敗北は大きな打撃です。

 SPDは、過去にロシアからのガス輸入を積極的に進めるなど伝統的に親ロシア的で、ウクライナへの大型兵器供与などに消極的でした。
 ウクライナ危機を受けて、ショルツ連邦首相や、SPD所属のランブレヒト国防相への批判が強まりました。
 シュタインマイアー大統領は、メルケル政権下のSPDからの副首相、財務大臣のため、ゼレンスキー大統領から、ウクライナに来て欲しくないと断られたほどです。

 一方、緑の党は両州議選で得票を伸ばし、特にノルトライン・ウェストファーレン州州では前回から約3倍に躍進しました。
 人権の観点からこれまでロシアに厳しい態度を取ってきた緑の党は、所属するベーアボック外相が政権内で率先してロシアを批判し、大型破壊兵器供与も積極的に支持してきました。
 同党所属のハーベック経済・気候保護相もエネルギーの対ロシア依存引き下げを急速に進め、各世論調査での両氏の人気はショルツ氏を上回ります。

 ノルトライン・ヴェストファーレン州州ではSPDは敗北しましたが、CDU中心の現州連立与党(CDUとFDP議席)も過半数(195議席)には届きませんでした。

 緑の党(39議席)が連立交渉のカギを握って、SPD(56議席)とFDP(12議席)合計107議席で連立政権ができる可能性が大で(CDU、FDP、緑の党でも過半数です)、緑の党は、新たに州与党入りすることが濃厚で、同党の影響力が国政でも一段と強まることになりそうです。

 ちなみに、ドイツ隣邦議会で、諸派を除き議席を持っている政党は、左翼から右翼に、左翼党(Die Linke)・緑の党・SPD・FDP・CDU・CSU・AfD)の順です。
 左翼党は東ドイツ共産党の流れをくみます。

 現在のドイツの政権は、左翼政権ということになります。
 連立内閣の一番左翼の緑の党が、ロシア批判、ウクライナへ大量破壊兵器の積極的援助に熱心ということですね。また、防衛費2%への増額は、現在の左翼政権が決めました。

 ヨーロッパの左翼政権は、日本の左翼と違い「お花畑」ではなく、リアリストです。
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