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2021年2022年バックナンバー

雑記帳

ロシアの核の脅し

 ロシアは、ウクライナ侵略で、戦術核を使用する可能性を否定しません。
 ただ、戦術核は、特に、地球全体の滅亡を意味しません。

 問題は戦略核です。

 ロシア軍は、令和4年4月20日、次世代の大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射実験を実施しました。

 アメリカとヨーロッパとの緊張を高めてウクライナへの軍事支援を停止するよう迫る狙いがあります。
 アメリカとヨーロッパによる制裁で経済や武器生産が停滞し始め、ロシア軍の脆弱性も指摘される中で、国際的な影響力を維持するには核ミサイルの戦力を誇示する以外に有効な手が乏しい状況も浮かび上がる。

 ロシア国防省は、令和4年4月20日、次世代の重量級ICBM「サルマト」の発射実験に成功したと発表しました。
 ロシアのプーチン大統領は「最高の性能を持ち、現代の全てのミサイル防衛システムを突破できる」と主張し「我々を脅かそうとする者の考えを改めさせるだろう」と語りました。

 米戦略国際問題研究所(CSIS)や米議会調査局によりますと、サルマトの最大射程は1万8000キロメートルで、10個程度の核弾頭を搭載できるそうです。

 核弾頭は飛行途中にそれぞれ分離されて別々の攻撃目標に向かうため、迎撃する難度は上がります。

 核弾頭の搭載数を減らせば、北極回りだけでなく米軍のミサイル防衛網が手薄な南極回りで米本土を攻撃できるとされます。

 これは説明が必要でしょうが、地球儀を見れば一目瞭然ですが、ロシアの対米ICBMと、アメリカの対ロシアICBMも北極方向を向いています。
 ロシアもアメリカも、北からのICBMに対し、迎撃態勢をとっています。

 1メートルが、北極から赤道の距離と定められた経緯があり、1万キロが地球4分の1周、2万キロが地球半周、4万キロが地球1周です。1万8000キロは地球ほぼ半周できます。
 ロシアから南に向けて発射すれば、南を回ってアメリカに着弾させられます。
 アメリカは、北からのICBMに対し、迎撃態勢をとっていますから、南から飛来するICBMの迎撃は難しくなります。

 米国防総省のカービー報道官は20日、記者団に対して新戦略兵器削減条約(新START)に基づいてロシアから実験の事前通告があり「サプライズではなく、脅威とみなしていない」と説明しました。

 ロシアは、原子力潜水艦にオホーツク海を中心にICBMを多数隠していて、ロシア全土が核攻撃を受けた場合、原子力潜水艦からのICBMが、アメリカ全土の都市を悠々破壊できます。
 ですから、アメリカはロシア相手に先制攻撃はできません。

 ですから、最新兵器ができたところで、現時点で既に、アメリカがロシアを先に核攻撃しても、アメリがほぼ全土が壊滅しますから、アメリカも新たな脅威と考えるかどうかは疑問です。

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