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2021年2022年バックナンバー

雑記帳

アメリカ商務長官「韓国産鉄鋼クォーター再交渉なし」USTRに続き否定的立場

 レモンド・アメリカ商務長官は、令和4年3月23日、トランプ政権時代に締結された韓国産鉄鋼の対アメリカ輸出量に対する再交渉の計画はないと明らかにしました。
 タイ・アメリカ通商代表部(USTR)代表が、再交渉に否定的な意見を明らかにしたのに続き、ラモンド長官がより直接的な表現で再交渉の可能性を一蹴しました。

 レモンド長官は、ロイター通信とのインタビューで「韓国はクォーターという輸出物量制限を通じて直前、アメリカ政府と合意した」とし「これを再交渉することは、我々の優先順位ではない」と述べました。

 アメリカは、トランプ前政権下の平成30年、アメリカ鉄鋼産業を保護するため、外国産鉄製品に高率関税を課しました。
 韓国は、高率関税の適用を受けず、平成27年から平成29年の鉄鋼輸出量平均の70%に輸出量を制限するクォーター制を受け入れました。

 これにより平成27年から平成29年には年平均383万トンだった韓国産鉄鋼のアメリカ輸出量は200万トン台に減少しました。
 これに対し、EUやイギリス、日本はクォーター制の代わりに高率関税を選びました。

 バイデン大統領が就任後、アメリカはEU、日本、イギリスと再交渉を行い、一定の物量まで関税を撤廃し、これを超えた物量にだけ関税を課す低率割当課税(TRQ)方式で合意しました。

 その後、韓国もクォーター枠を増やしたり、EUや日本のようにTRQの形に変えることができるよう、アメリカ側に再交渉を要求しました。

 しかし、しかしタイ通商部代表とレモンド商務長官は拒絶したということですね。


米鉄鋼・関税を免れた韓国・関税を選んだ日本・中国より輸出減少


 韓国は、平成30年3月、米鉄鋼関税の25%の適用対象から除外しました。

 代償は、以下の通りです。
1 韓国からの鉄鋼輸入制限、いわゆるクォータ制度の導入(過去3年平均の70%)。
2 アメリカ産自動車のさらなる開放措置。
3 保険制度での韓国製薬企業優遇の廃止。
4 米韓FTAで為替介入の透明化を求める付帯文書の採択。

 韓国の鉄鋼メーカーにとって3番目に大きな輸出市場である米国に、無関税で継続的なアクセスが可能なはずでした。
 過去3年平均の70%という制限付きですが・・

 韓国で、ムン・ジェイン政権の大きな外交的成果として当初歓迎された米国による鉄鋼輸入関税免除は、平成30年には、代わりに導入された輸入数量を制限するクオータ制がネックとなり、一部の鉄鋼メーカーの生産能力が半減するまでに追込まれています。

 平成30年、韓国の対米鉄鋼輸出規模が日本や中国など主要競合国より大きく減少しました。米国から鉄鋼関税の免除を受ける代わりに輸出量を制限するクォータ制を導入することにした結果です。

 平成30年、25%の関税がかかっている日本は20%減、中国は14%減、台湾は16%減でした。
 関税のかかっていない韓国の輸出額は2%増加、カナダは1%、メキシコは10%増加し、EUは横ばいでした。

 一見韓国の成功に見えますね。

 しかし、米国は自国で十分な量を生産できない品目に対しては関税を免除しています。

 日本製鉄鋼製品に対しては9166件の関税除外が申請され、このうち38%の3480件が承認されました。
 中国製の承認率も6084件中2386件と39%に達しました。これに対し韓国製の承認率は2733件中228件の8.3%にすぎませんでした。

 まず、日本の鉄鋼出荷割合は80%が国内、20%が輸出で、アメリカ向けは輸出の5%ですから、日本の鉄鋼出荷のうち対米輸出は1%にすぎません。
 そのうえ、日本がアメリカに輸出している鉄鋼製品は、米国は自国で十分な量を生産できない品目で関税免除されるものが多く、25%の関税などどこ吹く風と言ったところです。

 韓国は、関税免除の代償として、クォータ制度の導入(過去3年平均の70%)を受け入れていますから、輸出量は70%に制限されています。

 おまけに、韓国の間抜けなところは、クォータ制度(過去3年平均の70%)の期限を決めていませんから、理論上は、永久に合意時の70%の量しか輸出できません。
 アメリカは「おばかさん」と嘲笑しているでしょう。

 さらに、韓国は、為替介入の実績を公表せず、だまって為替介入してきましたが、米韓FTAで為替介入の透明化を求める付帯文書の採択をした結果、為替介入について公表しなければならなくなりました。
 これまた、アメリカは「おばかさん」と嘲笑しているでしょう。
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