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2021年2022年バックナンバー

雑記帳

印紙税

 銀行が、紙の通帳を減らし、オンラインの通帳に変えようとしています。

 紙の通帳のままだと、通帳記入ができるATMをある程度維持していかなければならないというのが1つの理由です。
 あと1つは印紙税です。1冊200円か1年200円の高い方で計算します。

 日本の場合、今までは、通帳を持っていて、使わなくなって放置していても、お金がかかりませんから、びっくりするくらいの預貯金通帳を持っている人がいます。
 転勤がある人で、転勤ごとに地元の預金通帳をつくって、解約しないまま放置している人もいれば、勤務先が頻繁に変わる非正規労働者で、勤務先指定の金融機関支店に預金通帳をつくって、解約しないまま放置している人もいます。

 印紙税は、日常の経済取引に伴って作成する、契約書や領収書など特定の文書に課税される税金です。
 経済取引の背景には、一般的に経済的利益が存在し、そこには税を負担する能力があるので、その支払い能力に応じて納税すべきであるという考えに基づいています。

 歴史は古く、西洋では17世紀ころから採用され、日本では明治6年(1873年)に印紙税が採用されました。
 令和2年度の印紙税による税収は約9200億円に上りまます。

 個人の生活に身近なものとしては、5万円以上の買物をしたときの領収書に印紙が貼られています。
 マイホームを購入するときの不動産売買契約書や建物建築請負契約書にも印紙が必要です。

 銀行の預貯金通帳の場合は、管轄の税務署長の許可を得て、一括で納付していますから、通帳に収入印紙を貼っているのはありまりみません。
 ただ、私は、私がもっていた東洋信託銀行(現・三菱UFJ信託)の預金通帳に、収入印紙が貼られているのをみたことがあります。普通預金と貸付信託の2つという趣旨でしょうか、毎年400円分が支払われていました。

 ちなみに、本来貼るべき契約書等に印紙を貼っていないことが税務署の調査でばれますと、納付すべき印紙税の額に加えて、その2倍に相当する金額の合計額が、過怠税として徴収されます。
 つまり、1万円の印紙をケチった場合、3万円支払わなければならなくなります。
 1万円なら知れていますが、何十万円となると大変です。

 印紙税は時代遅れといわれることもありますが、年間約1兆円というのは国にとって魅力ですね。
 廃止されることはないでしょう。

 なお、土地建物の売買契約書の場合は、2通作成され、双方が1通ずつ保管する場合が普通ですから、売主、買主、ともども印紙を貼らなければなりません。

 買主保管分の契約書だけに印紙を貼り、売主はコピーを持っておくということにすれば、印紙は買主だけが負担すれば十分です。
 破産管財事件では、売主の管財人がコピーを持っておいて、印紙は貼らないというのが普通です。

 なお、弁護士の職務上の領収書等は非課税です。
 ですから、弁護士が発行する着手金や成功報酬の領収証には印紙が貼られていません。もとより、脱税しているわけではありません。

 例外としては、弁護士の職務として破産管財人をして、破産者の不動産を売却したなどの場合には印紙を貼らなくてはなりません。もっとも、破産管財人は、土地を売却すればそれで終了、代金さえ入れば契約書は不必要です。そこで、コピーを保有し、印紙代を浮かせます。

 もちろん、弁護士個人の土地建物売買契約には印紙を貼ります。弁護士だからといって、印紙不要というわけにはいきません。


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