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2021年2022年バックナンバー

雑記帳

鉄道のローカル線と防犯カメラ

 国土交通省は、令和3年12月3日、末京王線における事件など列車内で車内で乗客が危害を受ける事件が相次いだことから、今後、新しくつくる鉄道車両に車内防犯カメラの設置を義務づける方向で検討を始めました。

 国土交通省は、地方に多い短編成の列車は義務化の例外とすることや、経営基盤が弱い地方鉄道は公費補助も検討するとしましたが、地方の鉄道関係者は動揺してい。最も大きな要因は「費用対効果」です。

 防犯カメラの設置には相当なコストが見込まれます。
 JR東日本が平成30年、首都圏の8300両に防犯カメラを導入した際は約110円かかったそうです。
 1両あたりの金額は非公表ですが、単純計算では130万円以上となります。

 JR西も同年度、過去最大の赤字を計上するなどJR旅客6社も全社が赤字に陥り、地方に投資できる余地は狭まっています。

 JRでこの様子ですから、地方の鉄道事業者の経営は厳しく、コロナ禍の影響が広がった令和2年度は全国の9割が赤字だったそうです。

 JR北海道やJR四国も一部の特急を除いて、ほとんど防犯カメラはありません。
 JR北海道やJR四国の列車は、特急と一部路線(札幌南千歳間の急行など)以外は「すかすか」ですね。

 なお、防犯カメラの設置費が全額補助されたとしても割に合いません。
 カメラの保守管理にも費用がいります。
 防犯カメラ担当職員を配置しなければならない可能性もあります。
 撮影した映像データをどう管理し、流出を防ぐのかといった検討も求められることになります。

 なお、電車内の防犯カメラは、凶悪事件に備えるというより、痴漢やスリといった犯罪抑止と犯罪立証を主眼に置いてきています。

 何か事件があると、防犯カメラの増設の論調がみられますが、現実的ではありません。
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