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2021年2022年バックナンバー

雑記帳

年金繰下受給の落とし穴


 令和4年は「年金制度」が大きく変わる年となります。

 働きながら年金を受け取る際の「在職老齢年金」の新ルールとともに注目されるのが、受給開始を遅らせて年金額を増やす「繰下受給」の選択幅が、70歳から75歳まで拡大するという制度変更です。

 60歳から64歳で、厚生年金に加入して働きながら年金(特別支給の老齢厚生年金)を受け取る「在職老齢年金」は、これまでは「給料+年金」が月額28万円を超えると年金の一部(オーバーした分の半額)がカットされていたのが、月額47万円を超えるまでは年金が支給停止されなくります。
 年代によっては「恨み節」が聞こえてきそうです。

 年金が減額される代わりに65歳よりも早く受け取れるのが繰上受給で、反対に65歳よりも遅く受け取ることで年金額が増やせるのが繰下受給です。
最大75歳まで受給開始を遅らせられるようになります。
 65歳から10年繰下げた場合、年金額は84%増となるため、「年金倍増」が可能になります。

 もっとも、繰下受給は、あまり利用されていません。
 年金を75歳まで受け取らずに暮らせるのは生活に相当の余裕がある限られた人のみです。

 また、年金収入が多くなれば天引きされる税金や社会保険料も増えるので、手取りは名目ほど増えません。

 年金受給額が増えることで、「住民税非課税世帯」ではなくなるケースがあります。
 東京23区など大都市部においては、65歳以上で扶養家族が専業主婦の妻1人の場合、夫の年金収入が211万円未満であれば住民税非課税となるのですが、211万円以上になると、「住民税非課税世帯」ではなくなります。

 住民税非課税世帯になると、各種保険料が安くなったり、高額療養費の自己負担限度額が低くなったりする恩恵があります。
 今回コロナ禍で、10万円が給付される困窮世帯の対象にもなりませんね。

 65歳から受給しても、211万円をこえない人ならともかく、ボーダーライン上の人は繰下受給したら、逆に損になることもあります。
 ちなみに、211万円をわずか超えそうなら、65歳手前で、繰上受給をしてしまうことも考えられます。

 一度減らした年金額を増やすことは基本的に不可能です。
 同じく、一度増やした年金額を減らすことは基本的に不可能だ。

 繰下受給はしない方が賢明です。
 といいますか、75歳まで繰下受給しようという人は、75歳になって自分が元気でお金を使えるかどうか考えた方がいいですね。
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