2020年バックナンバー
雑記帳
事件番号に付される記号
裁判所は、事件をどのように整理しているのでしょうか。
まず、裁判所を記載します。
最高裁判所・○○高等裁判所・○○高等裁判所△△支部、○○地方裁判所・○○地方裁判所△△支部、○○家庭裁判所・○○家庭裁判所△△支部、○○簡易裁判所にわけてしまいます。
次に、受付日を基準に、元号で年号を示します。西暦は使いません。
令和2年、平成28年、昭和63年、大正10年、明治40年とか記載します。
令和2年、平成28年、昭和63年、大正10年、明治40年とか記載します。
弁護士が、西暦ではなく元号を原則として、訴状や準備書面に記載するのは、そのためです。なお、過払い金など特殊な事件は、西暦を主に、元号を注記して使うこともあります。
さらに、事件の種類に応じて、事件の種類の記号(ひらがな、カタカナ、漢字のみ。または、その組み合わせ)を記載します。
地方裁判所の第一審の民事訴訟事件なら「(ワ)」、破産事件なら「(フ)」、任意競売事件なら「(ケ)」という記号です。
簡易裁判所の第一審の民事訴訟事件なら「(ハ)」、高等裁判所の控訴審の民事訴訟事件なら「(ネ)」などがつきます。
民事の場合は、基本的に「カタカナ」の記号がつきます。民事事件に準じる行政事件も、地方裁判所の第一審の民事訴訟事件なら「(行ウ)」などカタカナの番号がつきます。
家事事件も、家庭裁判所の調停事件なら「(家イ)」、審判事件なら「(家)」など、やはり「カタカナ」の記号がつきます。
これに対して、地方裁判所の第一審の刑事事件なら「(わ)」など、「ひらがな」の記号がつきます。
それに加え、事件番号を付します。受付順です。
これで、1つの事件に2つの事件番号がついたり、複数の事件に2つの事件番号がついたりすることはなくなります。
私が裁判官になったころ(昭和55年)から、事件の種類の記号「(ワ)」「(フ)」などは、あまりかわっていません。
一番変わったのは、離婚・離縁事件です。
平成16年3月31受付分までは、離婚・離縁は地方裁判所において審理され、事件番号は「(タ)」がついていました。
平成16年4月1受付分からは、離婚・離縁は家庭裁判所において審理され、事件番号は「(家ホ)」がつくようになりました。
私は、裁判官時代(昭和55年4月~平成2年4月)、概ね、地方裁判所の民事事件を扱っていました。
一見すると、離婚事件はさほど扱っていないように見えますが、それは現在の基準で考えたらのことで、地方裁判所の裁判官として、離婚事件は「かなり」やりました。
離婚事件は、地方裁判所で記号は「(タ)」がついていました。
ちなみに、破産事件は「(フ)」がついています。今ほど債権者のあきらめが良くありませんから、破産事件も大変でした。
そういえば、離婚や破産事件を沢山かかえてる弁護士のことを(タフな弁護士の意味も込めて)「タフ弁」ととか呼ばれていましたね。
地方裁判所で、離婚や離縁事件を審理していたことは、遠い昔になってしまいました。
どちらも、結構しんどいですから・・
ただ、「タフ弁」は完全な死語になってしまいました。