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2020年バックナンバー

雑記帳

年金の破綻

 年金は「破綻」するのでしょうか
 
 「破綻」の定義にもよります。
 
 日本の公的年金は、基本的に「賦課方式」で運営されており、現役世代が納めた保険料は、そのときの年金受給者への支払いにあてられています。
 自分が積立てた保険料を自分が受取る「積立」方式ではありません。
 
 年金受給者の「年金」は、現役世代が納めた「保険料」+「年金積立金」+「税金」でまかなわれています。
 
 昔は、年金積立金がどんどん増えていっていき、平成27年(2015年)には、資産残高およそ130兆円の金積立金がありましが、毎年、年金積立金が5兆円前後の取崩されています。
 
 40年後の2055年には、現在130兆円の年金積立金が完全に枯渇するという試算結果もあります。
 
 1955年生まれの私は100歳でこの世にはいません。
 
 実際は、年金の枯渇は、もっと早いかもしれません。
 私の生きているうちに年金が枯渇するかもしれません。

 年金積立金が完全に枯渇すれば、年金受給者の「年金」は、現役世代が納めた「保険料」+「税金」でまかなわれることになります。
 
 少子高齢化により、年金受給者の「年金」は増え続け、納めた「保険料」は減り続けます。
 
 恐ろしいことですね。
 
 ただ、政府としては、現役世代が納めた総保険料に見合う年金を支給しなければ(平均寿命まで生きたと仮定した場合です)、誰にとっても年金の保険料を支払う動機がなくなりますから、最低でも、税金で補填して(現在、基礎年金財政の半分を支えているのは税金です)、現役世代が納めた総保険料に見合う年金を支給せざるをえないということになるでしょう。
 
 「元をとれない」という制度にすると、誰も保険料を納めなくなります。
 
 その意味で年金は破綻はしないでしょう。
 
 日本という国家が破綻しない限り、平均寿命まで生きれば、納付した保険料分の年金は受け取れる=「元は取れる」ということになります。
 
 ただ、平均寿命が、例えば5年のびた結果、「元を取る」ためには65歳から支給する必要はなく、70歳から支給しても「元を取る」ことができるようになれば、70歳から支給しても問題ないという考えも成り立ちえます。
 
 ただ、そうしてしまうと、70歳までに職を失う人の生活がどうなるのかが問題となりますね。
 
 年金の「破綻」は、歳のため働けなくなっても、年金が受け取れないことと定義すれば、おそらく年金は「破綻」すると思います。

 話を変えて、厚生年金や共済年金を受給している人はまだましです。
 
 国民年金(基礎年金)で生活している自営業者の年額70万円強、月6万円では、生活していけるはずがありません。
 
 ただ、公的年金は終身年金であり、不十分な金額であっても老後の主たる収入源であることは間違いありません。
 
 年金受給を受けながら働き続けることや、他の所得を得る手段を持つこと、さらには老後のため十分な貯蓄を準備することで年金を補完することは必要になりますが、安定的かつ確実に受給できる基礎年金の重要性は高いといえます。

 年金など未納でいい、いざとなったら生活保護で暮らせばいいと考える人もいるでしょう。
 
 しかし、生活保護の受給者は「肩身の狭い」ものです。
 欧米の文化は「罪の文化」であるのに、日本人の文化は「恥の文化」であるといわれています。
 
 よほど度胸に自信がない限り、年金くらいは納めておくのが当たり前のことではないでしょうか。
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