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2020年バックナンバー

雑記帳

核兵器禁止条約

 核兵器の保有や使用を全面的に禁じる核兵器禁止条約(TPNW)が令和3年1月に発効します。
 発効の条件となる50カ国が批准しました。
 
 核軍縮の機運に弾みをつけるねらいですが、米英仏中ロといった核兵器保有国は参加せず、実効性は全く期待できません。
 
 核兵器禁止条約はオーストリアやメキシコなどが主導し、平成29年7月に国連で採択されました。
 
 条約に署名した国は84カ国・地域にのぼる。核兵器の開発や生産、使用、保有などに加えて「使用するという威嚇」まで法的に禁じる内容です。
 核兵器の実験や移転、配備の許可も禁止事項に含まれます。
 
 米英仏中ロの核保有国と、日本など米国の「核の傘」に頼る国々は参加していません。
 
 核保有国は条約の発効に反発を示し、署名・批准した国と核保有国との溝の深さも浮き彫りになっています。
 
 AP通信によると、米国は条約を批准した複数の国に「批准は誤った戦略だ」として撤回を求める書簡を送りました。
 
 核保有5カ国と北大西洋条約機構(NATO)の同盟国が「(条約の)潜在的な影響への反対で一致している」と懸念を表明しています。
 
 日本は、署名するはずがありません。
 
 令和2年10月25日、岸信夫防衛相は山口市で記者団に「核保有国が乗れないような条約になっており、有効性に疑問を感じざるを得ない」と述べました。
 
 4年前に国連で核兵器禁止条約に向けた交渉開始を求める決議案に日本は反対しました。
 当時官房長官だった菅義偉首相は「核兵器国と非核兵器国の亀裂を深め、核兵器のない世界の実現が遠のく」と説明しました。
 日本はその後の交渉会議も初回以外は参加していません。
 
 北朝鮮などの核の脅威がある中、通常兵器だけでの抑止は困難であり、日米同盟の下で核兵器を有する米国の抑止力維持が必要との考えです。
 
 当然の話ですね。
 
 日本が他国から核攻撃を受けた場合、同盟国が、日本を攻撃した他国に大規模な核攻撃をするという前提で、日本に核攻撃をすることをあきらめるという抑止力が働くからです。
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