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2020年バックナンバー

雑記帳

共犯者の公判

 政治家の買収事件で公判が分離された事件がありました。
 
 原則は、起訴されている事実が共通ならば、共犯者は同時に公判が開かれるのが原則の扱いです。
 
 別々に審理して、共犯者が他の共犯者の公判で、自分が罪が軽くなるように嘘をつくと偽証罪に問われますが、同一公判なら、おとがめなしです。被告人が、自分の公判で、自分が有利になるよう嘘をつくのはあたりまえ、嘘をついたからといって偽証罪を適用していたのでは自白の強要になります。
 
 一方が罪を認め、他方が否認すれば、一緒に起訴はしないでしょう。
 一緒に起訴をしても、分離するということになります。
 
 一般事件では、被告人の希望が優先されるようです。
 
 共犯者が別々の公判を望み(顔を合わせたくないなど)、検察官としてどちらでもよければ、検察官は別々に起訴します。
 
 私が、司法修習生で、東京で実務修習をしていたとき、民事裁判修習4か月、検察修習4か月、刑事裁判修習4か月、弁護修習4か月のローテーションで実務修習をしました。
 
 検察修習のとき、私と同い年の、あるプロスポーツ選手の大麻取締法違反の公判を、検察官席から見る機会がありました。
 
 検察事務官は、共犯者は同時に公判廷が開かれるという前提で公判の準備をしていました。
 
 共犯者が別々の公判を望んだので、記録を一式つくるということになりました。
 
 訴状は検察官が書きました。
 
 他の記録は検察事務官が作成するのですが、勉強のために、私に記録を一式つくるように指示がありました。
 単純にコピーすればよいものではなく、一方事件に必要でも他方事件に不必要な書類はコピーしないということになります。
 
  結構勉強になりました。
 
 コピーも私がしたのですが、当時は「青焼き」という、時間がたてば消えてしまうコピーだったことを記憶しています。
 
 そのプロスポーツ選手が、執行猶予期間中試合に出ないことを約束するから執行猶予期間を短くしてほしいと弁護側の弁論があり、言渡された判決の懲役○月は忘れましたが、執行猶予期間が最低の1年であったことは覚えています。
 
 刑法25条には「次に掲げる者が3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金の言渡しを受けたときは、情状により、裁判が確定した日から1年以上5年以下の期間、その刑の全部の執行を猶予することができる」となっていますから、執行猶予期間は最低で1年です。
 
 執行猶予期間が1年というのは、私にとって最初で最後です。

 裁判官が、当該スポーツが好きだったのかも知れませんね。
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