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2020年バックナンバー

雑記帳

70歳就業法案、衆院通過 企業に努力義務

 令和2年3月19日、希望する人が70歳まで働き続けられるよう、企業に努力義務を課すことを柱とした高年齢者雇用安定法などの改正法案は、衆院本会議で賛成多数となり、可決されました。
 
 参院に送付後、今国会での成立を目指し、令和3年4月からの実施を予定しています。
 
 企業が高齢者の就業機会を確保する際に、以下の選択肢を用意しています。

1 従来の定年延長や定年廃止、継続雇用制度
2 起業やフリーランスを希望する人への業務委託
3 自社が関わる社会貢献事業に従事させることも新たな選択肢となります
 
 また、副業や兼業の普及を後押しするため労災保険法も改正します。
 
 さらに、複数の職場を掛け持ちする場合、全ての労働時間を合算、労災認定の判断基準とします。

 厚生労働省の調べによりますと、令和元年6月現在で定年廃止に踏み切った企業は全体の2.7%と少ないですが、継続雇用制度を導入した企業は80%弱に達します。
 
 なお、企業は1つ以上のメニューを導入する必要があるのですが、60代前半と異なり、当面は実施しなくても社名公表はしません。
 
 つまり、「努力義務」です。
 
 しかし。政府は将来、60代前半と同じ「実施義務」にすることも検討しているそうです。
 
 60代の就労を促進するのは従来、公的年金の受給が始まる65歳までの収入確保という「つなぎ」の色彩が濃かったといえます。
 
 元気な60代が働くことにで医療、年金、介護など社会保障の支え手側に回れば、膨らみ続ける社会保障費にプラスに働くという思惑です。
 
 企業側には戸惑いの声も少なくありません。
 
 中小企業経営者のなかには「大企業と違い、中小企業には従業員の再就職を頼める取引先はない」と話しています。
 本音でしょう。

 従業員の再就職は人材派遣会社に委託する企業も多いようです。
 
 改正によって再就職の支援だけでなく実現まで責任を持つ必要がありますが、企業の体制が整うか不安が残ります。
 
 フリーランスや起業を選ぶ従業員に業務委託する場合も「どれくらいの期間委託すれば義務を果たすことになるか不透明」との声もあります。
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