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2020年バックナンバー

雑記帳

新型コロナ罹患者の死者数の正確さ

 新型コロナウィルスが蔓延しています。
 
 アジアは小康状態のようです。いつどうなるかも知れませんが・・
 かわりに、ヨーロッパとアメリカが大変なことになっています。
 
 日本は、現在のところ、感染者数も死者も、いずれも比較的少数に抑えられています。
 
 感染者数は、検査をどれだけするかにもかかってきます。
 検査数が少ないと、感染者数も少なくなるということですね。
 
 死者はどうでしょう。
 
 他の国はどうかは知りませんが、日本の新型コロナウィルスによる死者数の報告は正しいでしょう。
 
 日本では、ほぼ例外なく、医師の死亡診断書がないと火葬ができません。
 
 病院で亡くなられたのなら、院内感染予防の観点から、新型コロナウィルスであるかどうか検査しないということは考えにくいですね。
 
 自宅で療養中に亡くなられた場合でも「死因は肺炎、以上、終わり」というわけにもいきません。
 新型コロナウィルスによる肺炎なら、看護していた親族が感染している可能性がありますから、検査しないわけにはいきませんね。
 
 自宅による孤独死の場合は、犯罪の可能性も残っていますから(犯罪による死亡のほか、保護責任者遺棄による死亡も考えられます)、やはり、慎重に検査するでしょう。

 現実に、自宅による孤独死された方が、新型コロナウィルスに感染者としてカウントされた事例もあります。
 
 いずれにせよ、死亡してから、医師の診断なくして火葬場に直行ということは日本の場合あり得ません。
 
 医師は「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」の準用により、氏名、年齢、性別その他厚生労働省令で定める事項について報告義務を負います。
 報告されれば、新型コロナウィルスによる肺炎としてカウントされます。
 
 以下、関係法令です。
 
「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」
 
12条
1項 医師は、次に掲げる者を診断したときは、厚生労働省令で定める場合を除き、第一号に掲げる者については直ちにその者の氏名、年齢、性別その他厚生労働省令で定める事項を、第二号に掲げる者については7日以内にその者の年齢、性別その他厚生労働省令で定める事項を最寄りの保健所長を経由して都道府県知事に届け出なければならない。
一 一類感染症の患者、二類感染症、三類感染症又は四類感染症の患者又は無症状病原体保有者、厚生労働省令で定める五類感染症又は新型インフルエンザ等感染症の患者及び新感染症にかかっていると疑われる者
二 厚生労働省令で定める五類感染症の患者(厚生労働省令で定める五類感染症の無症状病原体保有者を含む。)
 
3条
 
 新型コロナウイルス感染症については、法第8条1項、第12条(4項及び5項を除く。)(中略)を準用する。この場合において、次の表の上欄に掲げる法及び感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律施行令(平成10年政令420号。以下この条において「令」という。)の規定中同表の中欄に掲げる字句は、それぞれ同表の下欄に掲げる字句に読み替えるものとする。
 
 
 以下、病理解剖の指針です。
 
【重要】新型コロナウイルス感染症患者および原因不明の肺炎患者の病理解剖について(情報提供)

 今般、国立感染症研究所 感染病理部より「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の剖検における感染予防策」発出されたので、病理解剖に深く関わる臨床検査技師に対して注意喚起が必要であることから情報提供することとした。
 
●COVID-19 症例の剖検プロトコル 2020/2/25 版(PDF)
●新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) の剖検における感染予防策 2020/02/19版(PDF)
 
 この感染予防策を日本臨床衛生検査技師会「会員専用ページ」にアップロードしたので、ご活用ください。(「会員専用ページ」への掲載は、国立感染症研究所の了承を得ていますが、取扱いに配慮すること。)
 
 なお、当該感染予防策は随時改定される予定であり、入手次第、会員専用ページにアップロードいたしますので、「新着情報」をご確認ください。
 
 なお、国立感染症研究所 感染病理部においては、以下の点についてもご注意が必要とのこと。 
 
*原因不明の肺炎患者の病理解剖にあたっては、COVID-19感染の確認を病理解剖の前に行うこと。
*各医療機関に検査キットが配布されているかと思いますが、在庫がない等の場合、各医療機関を通して、所轄の保健所に検査に関して問い合わせて下さい。
*咽頭ぬぐい液の提出で、保健所で検査する体制もあるとのこと。
*COVID-19感染を病理解剖前に確認するため、解剖開始まで時間を要する可能性があることを、臨床担当医にご周知ください。
*COVID-19感染患者の病理解剖に携わった病理医及び検査技師は、本感染予防策に従って病理解剖を行った場合には、濃厚接触者には該当しないとのこと(国立感染症研究所に確認済)。
*検索目的により凍結検体を採取・保存・輸送する場合には、細心の注意を払い、可能な限り新鮮での取扱いを行わない方向で対処すること。
 
問い合わせ先 日臨技 滝野専務理事
2020.03.15
 
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