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2020年バックナンバー

雑記帳

東大法学部の不人気

 日本の大学入試のうち、文化系で一番難しいのは、東京大学教養学部文科Ⅰ類です。 
 
 東京大学は、1年生、2年生を、すべて教養学部に所属させ、3年生以降を専門学部に所属させます。
 
 おおざっぱに言って、文科Ⅰ類は法学部進学コース、文科Ⅱ類は経済学部進学コース、文科Ⅲ類は文学部・教育学部進学コースです。
 
 東京大学教養学部文科Ⅰ類の志願者数が減り、東京大学法学部の進学者数が減ってきています。
 
  教養学部の文科Ⅰ類と文科Ⅱ類は、教養学部で同じクラス分けになります。
  私の場合は、昭和49年LⅠ・Ⅱ14組でした。
  「L」は文科、「S」が理科です。
 
 学生の数が半端ではありませんから、同窓会は、教養学部の同じクラス単位でしか集まれません。
 教養学部の同じクラスに、法学部、経済学部に進学する予定の学生が一緒になります。
 
 経済学部進学の学生(文科Ⅱ類)は、一部、国家公務員上級職試験の受験予定者を除いて、国家試験を受ける必要はありません。
 あまり、熱心には勉強しないということになります。
 
 法学部進学の学生(文科Ⅰ類)は、司法試験、国家公務員上級職試験という国家試験を受ける学生が「ほとんど」です。
 入学当初は、特に何も考えていなくても、周りの学生が、司法試験、国家公務員上級職試験の勉強を始めますから、「その気」になってしまいます。
 外交官志望者も、同じく国家試験の勉強をします。数はわずかです。
 なお、学者志望者は、国家試験というより、法学部の試験で「優」を集めなければなりません。
 
 法学部進学の学生(文科Ⅰ類)でも、民間企業就職予定の学生は、国家試験を受験する必要がありませんから、それほど勉強をする必要はありません。
 
 法学部に人気がなくなった理由は何でしょう。
 
 まず、司法試験に魅力がなくなりました。
 司法試験は、かならずしも「一生食うに困らない」資格ではなくなりました。
 昔は、間違いなく「一生食うに困らない」資格でした。
 また、予備試験ルートを除けば、2年余分に法科大学院に通わなけれはせなりません。
 
  信じられないほど、ハードルが高くなりました。
 
 弁護士になっても、食べていけるという保証はありません。
 また、東京大学法学部を卒業しているから、裁判官、検察官になる保証があるかということですが、昔から、裁判官になれる保証などありません。
 
 国家公務員上級職試験に合格して官僚になるのはどうでしょうか。
 
 これだけ「官僚バッシング」をされるような世の中になりますと、官僚の魅力もなくなりますね。
 
 なお国家公務員上級職試験に合格して、中央官庁に入っても、給料は、仕事との割には間違いなく「安い」です。
 天下りで、現役時代の薄給を補っていたのですが、それも、うまくいかなくなっています。
 
 民間企業はどうでしょう。
 
 私自身は、自分で「就職活動」をしたことが全くありません。
 裁判官は、成績次第ですし(人格次第とまで言うつもりはありません)、弁護士に転身したときも、売り手市場でした。
 
 最初から、民間に行くということを決めていれば、就職は難しくないでしょう。
 しかし、司法試験、国家公務員上級職試験と、二股をかけていると、出遅れることに間違いはありません。
 
 最初から、迷わない分だけ、経済学部がいいのかも知れません。
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