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2020年バックナンバー

雑記帳

韓国籍の弁護士

 その昔は、在日韓国朝鮮籍の人は、司法試験に合格しても日本に帰化しなければ司法修習生となれませんでした。
 
 逆に言うと、司法試験に合格すれば、無条件で日本に帰化できたということになります。
 
 韓国籍のまま、最初に弁護士になったのは、亡金敬得弁護士です。
 
 司法修習31期ということですから、私の司法修習の1期先輩ということになります。
 
  Wikipediaで「金敬得」と検索すると、以下のとおりでてきます。
 
「 メッキ職人の次男として和歌山市に生まれる。公立の小学校、中学校と高等学校では『金沢敬得』という通名を名乗り、韓国人であることを隠しながら生きていた。1972年に早稲田大学法学部を卒業したが、朝日新聞社への就職を拒否されたことが契機となって朝鮮人意識に目覚め、本名を名乗りはじめる。アルバイトをしながら法律の学習を続け、1976年に司法試験最終合格。
  しかし日本国籍を取得しなければ司法研修所に入れないことを知らされ、弁護士資格の国籍条項を撤廃させるべく運動。6回にわたって最高裁判所任用課に意見書を提出した結果、1977年に要求が認められ、外国人として初の司法修習生となる。」
 
 メッキ職人の二男として生まれ、公立小学校・中学校・高校で勉強し、早稲田大学に入学し、司法試験に合格し、司法修習生を経て弁護士になっているのですら、国籍のハンディはあまりなさそうです。
 
 朝日新聞社が、韓国籍ということで就職差別をしていた(真実はわかりません。他の要素のため採用しなかったのかも知れません)というのも、今にして思えば不思議ですね。
 
 ちなみに、亡金敬得弁護士は、私の卒業した、和歌山県立桐蔭高等学校の先輩のようです。
 私と6年の年齢差がありますから、面識はありません。
 といいますか、このエントリーを書こうとして検索したとき、はじめて知りました。
 
 これ以降、在日韓国人・朝鮮人(他の国籍でもかまいません)で、司法試験に合格した場合、帰化して、日本人として、裁判官・検察官・弁護士となるのか、帰化せず、韓国人・朝鮮人として弁護士になるのか、選択することができるようになりました。
 
 私の同期の弁護士でも、さっさと帰化して通名を本名にして、日本人として弁護士になって活躍されている方を知っています。
 
 また、帰化せず、韓国人・朝鮮人として弁護士となられる方も多くいます。
 
 通名は使いません。本名で仕事をします。
 韓国籍の弁護士ということで、一定の需要はあるようです。
 
 また、医師と弁護士の両資格を持っていたり、公認会計士と弁護士の両資格を持っておられる弁護士に、韓国籍の方が多いです。
 1つだけで稼げる資格を2つ持つというのは時間の無駄というのは、日本人の発想のようです。
 
 ちなみに、韓国人弁護士も、日本人弁護士と同じく、通常の弁護士業務のほか、破産管財人や相続財産管理人になれます。
 
 もっとも、調停委員にはなれません。
 
 家事事件手続法284条には、以下の通り定められています。

 「1 家庭裁判所は、調停が成立しない場合において相当と認めるときは、当事者双方のために衡平に考慮し、一切の事情を考慮して、職権で、事件の解決のため必要な審判(以下「調停に代わる審判」という。)をすることができる。ただし、第277条第1項に規定する事項についての家事調停の手続においては、この限りでない。
 2  家事調停の手続が調停委員会で行われている場合において、調停に代わる審判をするときは、家庭裁判所は、その調停委員会を組織する家事調停委員の意見を聴かなければならない。
 3  家庭裁判所は、調停に代わる審判において、当事者に対し、子の引渡し又は金銭の支払その他の財産上の給付その他の給付を命ずることができる」
 
 日本国籍を持たない弁護士が家事調停委員をしている場合、「調停に代わる審判」ができるかどうかの問題です。私が担当家事審判官(裁判官)なら、こわくてできません。
 
 ちなみに、私は、大阪簡易裁判所の調停委員をしていたことがあります。
 
 弁護士で調停委員というのは、精神衛生上よくありません。
 調停が成立すれば、双方代理人に、おおよそ、いくらくらいの報酬が入るかわかります。
 調停委員の日当は1日、約1万円です。
 
 私は、裁判官経験者ですから、あえて調停委員になるメリットはないのですが(弁護士一筋という方にとっては「調停委員」という肩書きは、信用という点でメリットがあるようです)、順番が回ってきたから選任されたようです。
 
 私は、調停委員を既に辞めさせてていただいています。
 
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