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2020年バックナンバー

雑記帳

湖北省滞在外国人の入国拒否

 政府は、令和2年1月31日、中国湖北省武漢市を中心に感染が拡大している新型コロナウイルスによる肺炎への対策として、過去2週間以内に湖北省に滞在していた外国人らの入国申請を拒否することを決めました。
 
 令和2年2月1日から実施されています。
 
 根拠法条は出入国管理法です。
 感染が確認できない場合でも「高度な政治的判断」(森雅子法相)で出入国管理法を適用します。
 
 世界保健機関(WHO)の緊急事態宣言を受けた措置で、特定地域を指定した入国制限は初めてとなります。
 
 令和2年2月1日付で新型肺炎を感染症法の「指定感染症」、検疫法の「検疫感染症」にそれぞれ指定。感染拡大防止に向け、強制入院などの取り組みを強化します。
 
 具体的には、感染の有無にかかわらず、当分の間、入国を拒否します。
1 入国申請日前14日以内に中国湖北省滞在歴がある外国人
2 湖北省発行の中国旅券所持者
 
 はっきりいって、法的根拠は不十分です。
 
 「出入国管理及び難民認定法」には、以下のとおり定められています。
 
5条 次の各号のいずれかに該当する外国人は、本邦に上陸することができない。
 
一号 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律に定める一類感染症、二類感染症、新型インフルエンザ等感染症若しくは指定感染症の患者又は新感染症の所見がある者
二号 精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者又はその能力が著しく不十分な者で、本邦におけるその活動又は行動を補助する者として法務省令で定めるものが随伴しないもの
三号 貧困者、放浪者等で生活上国又は地方公共団体の負担となるおそれのある者
四号 日本国又は日本国以外の国の法令に違反して、一年以上の懲役若しくは禁錮又はこれらに相当する刑に処せられたことのある者。ただし、政治犯罪により刑に処せられた者は、この限りでない。
五号 麻薬、大麻、あへん、覚醒剤又は向精神薬の取締りに関する日本国又は日本国以外の国の法令に違反して刑に処せられたことのある者
(中略)
十一号 日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを企て、若しくは主張し、又はこれを企て若しくは主張する政党その他の団体を結成し、若しくはこれに加入している者
十二号 次に掲げる政党その他の団体を結成し、若しくはこれに加入し、又はこれと密接な関係を有する者
イ 公務員であるという理由により、公務員に暴行を加え、又は公務員を殺傷することを勧奨する政党その他の団体
ロ 公共の施設を不法に損傷し、又は破壊することを勧奨する政党その他の団体
ハ 工場事業場における安全保持の施設の正常な維持又は運行を停廃し、又は妨げるような争議行為を勧奨する政党その他の団体
十三号 第十一号又は前号に規定する政党その他の団体の目的を達するため、印刷物、映画その他の文書図画を作成し、頒布し、又は展示することを企てる者
十四号 前各号に掲げる者を除くほか、法務大臣において日本国の利益又は公安を害する行為を行うおそれがあると認めるに足りる相当の理由がある者
 
「十四号 前各号に掲げる者を除くほか、法務大臣において日本国の利益又は公安を害する行為を行うおそれがあると認めるに足りる相当の理由がある者」という法条を拡大解釈するということになります。
 
 過去2週間以内に湖北省に滞在していた外国人について、「法務大臣において日本国の利益を害する行為を行うおそれがあると認めるに足りる相当の理由がある者」というのは拡大解釈ですね。
 
 平成29年4月21日、中国人に対するビザ発給要件の緩和がなされています。
 
 本21日、外務省は、日中間の人的交流を拡大し、政府の観光立国実現及び地方創生の取組に資するため、中国人に対するビザの発給要件を緩和する以下の措置を、5月8日から開始することを決定しました。
 
2 具体的な措置の内容は、以下のとおりです。
(1)中国国内に居住する中国人に対する措置 
   ア 十分な経済力を有する方に対する数次ビザの発給開始
     十分な経済力を有する方とその家族に対して、有効期間3年、1回の滞在期間30日の数次ビザ(初回は観光に限定)の発給を開始します。
   イ 東北三県数次ビザの六県への拡大
     東北三県(岩手県、宮城県、福島県)数次ビザの対象訪問地を、東北六県(青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県)へ拡大するとともに、これまで一定の経済力を有する方に課していた、過去3年以内の日本への渡航歴要件を廃止します。
   ウ 相当の高所得者に対する数次ビザの緩和
     相当の高所得を有する方とその家族に発給している数次ビザ(有効期間5年、1回の滞在期間90日)は、初回の訪日目的を観光に限定せず、商用や知人訪問等の目的でも利用できることとします。また、このビザを利用する方は、航空券、宿泊先等を旅行社を介さず自ら手配できることとします。
 
 
 いずれ、過去14日以内に中国に滞在したことのある外国人のうち、中国人の入国をしなければならなくなるかもしれません。
  まず、ビザの緩和を元に戻すことが考えられます。
 ビザを出すか出さないかは、各国家の専権事項です。
 
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