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2020年バックナンバー

雑記帳

死人に口なし

 令和2年3月6日、「Fukushima 50」(フクシマフィフティ)という映画が公開されます。
 
 門田隆将著のノンフィクション書籍『死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発』を原作に、東北地方太平洋沖地震に伴う福島第一原子力発電所事故発生時に発電所に留まって対応業務に従事した約50名の作業員たちの闘いを描くとなっています。 
 
 朝日新聞社は、とんでもない誤報を流し続けています。
 
 朝日新聞社は、平成26年5月20日の朝刊にて、事故当時の福島第一原発の所長であり、平成25年に死去した吉田昌郎氏が政府の事故調査・検証委員会の聴取りに答えた証言記録、いわゆる「吉田調書」を入手したとして、記事を掲載しました。 
 
 この中で、朝日新聞社は「福島第一原発の2号機が危機的な状況に陥っていた平成23年3月15日「第一原発にいた所員の9割に当たる約650人が吉田氏の待機命令に違反し、10キロ南の福島第二原発へ撤退していた」と報じました。
 
 朝日新聞社の、木村社長は、平成26年9月11日、朝日新聞東京本社で記者会見し、東京電力福島第1原発事故で政府の事故調査・検証委員会が行った吉田元所長の聴取記録(吉田調書)を基に「所員が吉田氏の命令に違反し撤退した」などと報じた記事は誤りで、取消すと発表しました。
 
 木村社長は「命令違反とした表現を取消す。東電の関係者に深くおわびを申し上げる」と謝罪し、杉浦伸之編集担当の解任するとともに関係者を処分し、社長自身も社内改革後に進退を判断する意向を示しました。
 
 朝日新聞社の「福島第一原発の2号機が危機的な状況に陥っていた平成23年3月15日「第一原発にいた所員の9割に当たる約650人が吉田氏の待機命令に違反し、10キロ南の福島第二原発へ撤退していた」との報道に対し、産経新聞は、平成26年8月17日、吉田調書を入手し「吉田元所長は『退避』は指示しているものの『待機』を命じてはいない。反対に質問者が『すぐに何かをしなければいけないという人以外はとりあえず一旦』と尋ねると、吉田氏が『2F(第2原発)とか、そういうところに退避していただく』と答える場面は出てくると反論しました。
 
 政府は、平成26年9月11日に吉田調書の全文を公開しました。
 
 公開には、全く問題がないわけではないのですが、本件の場合、正しい判断と思います。
 
 吉田元所長の発言の中で、「命令に違反」との記述はありませんでした。
 
 朝日新聞は「逃げ切れない」と判断したのでしょう。
 
 朝日新聞は、吉田元所長が生存していたら、あのような記事を書いていたでしょうか。
 
 書いていないと思います。
 「死人に口なし」、一番卑怯な手口です。
 
 また、吉田調書が公表されていない時点において「言った言わないの世界なら嘘をつきとおせ」というのも、卑怯なやり方です。
 
 弁護士としても、自戒する点もあると思います。
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