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2018年バックナンバー

雑記帳

シンガポールは「明るい北朝鮮」

 シンガポールの元首相で、建国の父とも呼ばれるリー・クアンユー氏が、平成27年3月24日に死亡しました。

 

 シンガポールは、別名「明るい北朝鮮」ともいわれています。

 ThePage平成27年3月24日記事
 

---引用開始---

 

 シンガポールの元首相で、建国の父とも呼ばれるリー・クアンユー氏が23日、シンガポール国内の病院で亡くなりました。シンガポールはリー氏の手腕によってアジアでもっとも豊かな国のひとつに成長し、最近では、富裕層を中心に日本から移住する人も増えています。一方で、同国はリー一族の独裁体制ともいわれており、言論の自由がなく、一部からは「明るい北朝鮮」とも揶揄されています。シンガポールとはどのような国でリー氏はどんな政治家だったのでしょうか。

 
 シンガポールはマレー半島の突端に位置する東京23区ほどの大きさしかない都市国家です。もともとは英国領でしたが、太平洋戦争中は日本が占領していました。終戦後、シンガポールはマレーシアの一部として英国から独立を果たしますが、マレーシアでは、中華系とマレー系の対立が激しく、シンガポールは事実上、マレーシアから追放されてしまいます。

 

 同国には天然資源がほとんどありませんから、リー氏は国家を自立させるために徹底した工業化を進めました。日本や米国から資本を導入し、国家主導でインフラを整備し、工場を誘致したのです。教育に力を入れ、優秀な若者は次々と外国に留学させて、最新の手法を導入していきました。工業化が一段落すると、今度は金融ビジネスに舵を切り、シンガポールをアジア有数の金融センターに成長させました。同国の1人あたりGDPは670万円と日本の1.5倍もあり、国民は圧倒的な豊かさを享受しています。

 

 一方、こうした成長最優先の社会を実現するため、リー氏は独裁的な国家運営を強行しました。国内の言論は統制されており、政府批判ができない状態が今でも続いています。現在の首相はリー氏の長男であるリー・シェンロン氏が務めていますから、事実上の世襲制といってよいでしょう。

 

 シンガポールは単純労働を行う移民は期間限定での受け入れとし、永住を認めない一方、外国のエリート層や資産家に対しては積極的に移住を推奨しています。日本からもエリート層や資産家の一部が、男女平等のビジネス環境や安い税金に惹かれてシンガポールに移り住んでいます。

 

 リー氏が類い希な卓越した政治家であり、シンガポールの国家運営が大成功していることは誰もが認めるところでしょう。しかし、アジアでもっとも成功した国に、十分な民主主義が育っていないという現実は何とも複雑です。

 

---引用終了---

 

 シンガポール建国の父とも言われるリー・クアンユー氏は、独裁的な国家運営を強行しました。国内の言論は統制されており、政府批判ができない状態が今でも続いています。 また、現在の首相はリー氏の長男であるリー・シェンロン氏が務めていますから、事実上の世襲制といってよいかと思います。

 

 シンガポールは単純労働を行う移民は期間限定での受け入れとし、永住を認めていません。

 

 シンガポールでは、国への投資を実施する外資駐在員と、国民がやりたがらない仕事を担う建設労働者・家政婦(メイド)などを代表とする単純労働者移民とは、共に必須と認識されています。

 

 シンガポールの単純労働を行う移民に課せられている制限は、以下のとおりです。

 

1 永住権の申請資格が無い
2 扶養者用のビザを発行せず家族を呼び寄せられない
3 家政婦用のワーキングプログラムでは、女性が妊娠すればビザキャンセルによる国外退去
4 シンガポール人やシンガポール永住権保持者との結婚には政府許可が必要

 

 単純労働者が、リタイア後を含め永住や長期滞在すると、単純労働者は国への貢献より、国が付与する社会保障がトータルで大きくなる可能性が高いといえます。

 

 そのため、制限した労働条件への合意のもとで、一定期間を移民として受け入れています。

 

 妊娠した女性が国外退去となるのは、家政婦用就労ビザではシンガポール人や永住権保持者との既婚の場合を除き、妊娠・出産が許されていないためです。
 これにより、子供の滞在ビザが発行されず不法滞在となるのが避けられます。

 

 結婚許可も、結婚するシンガポール人が扶養するのに十分であり、国の社会保障への依存が少ないのを確認するためと考えられます。

 

 日本は、シンガポールと異なり、人口の多い経済大国であり、また、民主主義国ですから、シンガポールと同列には論じられません。

 

 ただ、日本が、表だって移民を受け入れるなら、シンガポールの政策を参考にすることは、必ずしも悪いことではありません。

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