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2018年バックナンバー

雑記帳

入試問題と解答、原則公表へ 出題ミス対策で文科省

 文部科学省は、平成30年6月5日、各大学に対して問題や解答の公表を原則として求める新しいルールをまとめ、大学などに通知しました。

 

  大阪大学と京都大学などで入試ミスが相次いだことを受けての措置です。

 

 林芳正文科大臣は、平成30年6月5日の閣議後会見で、「各大学はこのルールを踏まえて、入試ミスの防止や早期発見など適切に対応してほしい」と述べました。
 「公表しなくても罰則はありませんが、各大学は公表しない理由を説明する必要がある」と話しています。

 

 平成29年までは、試験問題や解答の公表を各大学が「努める」よう求めていました。
 「努める」を「原則公表する」としたということです。

 

 なお、試験問題のうち、回答が「〇X」だったり、「番号」だったりする場合は問題ありませんが、文章を書かせる記述式問題などは、解答の代わりに標準的な解答例などを原則公表するとしています。

 

 東京大学や早稲田大学などはこれまで解答を公表しておらず、その理由として「解答や解法を暗記する受験対策につながりかねない」「解答を導く過程を評価する問題もある」などとしています。
 両大学の担当者は「通知を見て検討する」と述べました。

 新ルールでは、外部からミスの指摘があった時は、作問者以外の人も含めて速やかに組織として対応することや、ミスが判明した際は受験生に丁寧に対応しながら原因を分析し、再発防止に努めることも求めます。

 

 話はかわって、司法試験は、現在、問題も解答も公表されることになっているようです。

 

 私が受験した昭和52年の司法試験のうち、短答式(憲法民法刑法の3科目について五者択一のマークシート。正答なし=「ゼロ回答」もあわせ、実質的に六者択一)は、問題文も回答も公表されておらず、論文式のみ問題文のみ公表されていました。

 

 論文式の問題は「〇〇について述べよ」あるいは、簡単な事実関係を書いて、どのような請求権があるかなどの問題で「問題が間違っている」ということは起こりえませんでした。

 

 短答式の問題は、択一式ですから、かなり複雑な問題になります。

 

 正答なし=「ゼロ回答」という選択肢があることから、正解がないということは考えられませんが、正解が2つある、あるいは、3つあるということはありえます。

 

 しかし、問題を作成する司法試験管理委員会は、正解は1つと考えて問題を出していますから、問題のミスにより、正解がえられなかった受験者が出てくる可能性があります。

 

  正解が2つのうちどちらかと考えて無駄な時間をかけたため、他の問題の解答時間がなくなったという受験生もいるでしょう。

 

 ということで、司法試験の短答式は、問題自体を公表しませんでした。

 

 これなら、後で、正解が2つあると判明して、試験のやり直し、あるいは、追加合格ということになる心配はありません。

 

 なお、短答式に合格した受験者だけが論文試験や口述試験を受けられるので、追加合格ではなく、追加の論文試験や口述試験を実施することにならざるを得なかったという事情もありました。

 

 受験生は、どのようにして過去の問題を知ることができたのでしょうか。

 

 中央大学真法会という組織がありました。
 

 受験生が授業を受ける代償として、何番の問題1つを完全に暗記して報告するという義務が課していたそうです。


 90問として、270人に指示すれば、同じ問題を3人の受験生が記憶していることになります。
 まず、ほぼ正しく復元できたでしょう。

 

 復元の結果、仮に、正解が2つあることがわかったとしても、あくまで記憶の復元にすぎませんから、司法試験管理委員会は、知らない顔をしてすますことができました。

 

 合否のボーダーラインにいる受験生が悪いということですね。
 ゆうゆう合格するように勉強しろ、そうでなければ諦めろということになります。

 

 そんな時代だったのですね。

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