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2019年バックナンバー

雑記帳

働く高齢者の年金減額、現状維持が強まる

  働く高齢者の年金を減らす「在職老齢年金」をめぐり、基準額を増額しようという動きがありました。
 
 基礎年金は減額されません。
 
 在職老齢年金は、公的年金と給与の合計が基準額を超えると年金の報酬比例部分が減る仕組みです。
 
 65歳以上は月47万円、60~64歳は月28万円が基準額で、108万人の年金の支給を「一部」止めています。収入金額により、ほぼ全額支給停止の給与所得者もいますし、ほとんど支給停止されていない人もいます。
 
 在職老齢年金は、一定の収入のある高齢者に年金の一部を我慢してもらい、将来世代のために取っておくのが制度の趣旨です。
 
 高齢者の就業意欲を阻害しているとの指摘がありました。
 
 厚生労働省が令和元年10月に示した、65歳以上について現行の月47万円とあるのを月62万円とするとの当初案に「お金持ち優遇」と与党などから批判を受け、月51万円に修正したものの、反対意見が強いため、月47万円で据置くそうです。
 
 高齢者の就業促進は政府の重要課題ですが、厚生労働省が、見直しを議論する社会保障審議会に示した資料で、60~64歳の減額基準引き上げは「一定の就業促進効果がある」とした一方、65歳以上は「効果は確認できない」としました。
 
 加えて、将来世代の給付水準は下がるという、わかりきった「不都合な真実」に注目が集まりました。
 
 公的年金は現役世代から高齢者への仕送り方式で、給付に回らなかった分は積立金になります。
 いま払いすぎれば、将来世代のもらえる年金額は減ります。
 
 在職老齢年金で支給を止めている年金額は、直近の試算で年約9000億円にのぼるのですが、65歳以上について月62万円まで減額基準を緩めれば、給付が数千億円増え、年金の給付水準の指標である現役男性会社員の手取り収入に対する高齢夫婦世帯の年金額の比率(所得代替率)は将来、0.2ポイント下がります。
 
 生活が十分出来る給与が得られるのなら、将来世代のもらえる年金額のために取っておくというのがいいのではないでしょうか。
 
 年金は、積立て方式ではありません。
 また、基礎年金はもらえます。
 
 なお、私は、弁護士であり自営業者なので、「在職老齢年金」の適用はなく(といいますか、基本的には弁護士の年金は基礎年金のみです)、収入と関係なく年金はもらえます。また、私が生きているうちに年金基金が枯渇するということは考えにくいです。
 
 私にとって「在職老齢年金」がどうなろうと、利害関係はありません。
 
 ところで、65歳以上月47万円の給与所得者という人は、どのような人でしょう。
 
 会社役員か、団体役員か、医療法人役員か、いずれにせよ、支給年金の制限をしても問題なさそうです。
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