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2019年バックナンバー

雑記帳

問題のある「法律相談」

 大阪弁護士会、各地方自治会が実施している法律相談があります。 
 
 地方自治体における法律相談は、住民サービスの一環ですから無料、大阪弁護士会における法律相談も、生活保護受給証・母子手当受給証があるなどすれば無料です。
 
 地方公共団体は30分の制限が多くなっています。昔は20分制限というところが多かったですね。
 
 地方自治体などの無料の法律相談にはかわった人の相談があります。
 
 リピーターは、受付の段階でチェックされます。
 
 まともな質問の時間切れは、またどうぞ来てくださいで終わりなのですが、「おかしな質問」の場合は、弁護士が口頭で担当職員に「かわった人である」との申送りをすることがあります。通常は、次の相談担当弁護士は、あらかじめ、相談者が「かわった人である」ことが、事務職員によって伝達されています。
 
 次の法律相談の担当弁護士は、通常の場合「受流すのみ」となります。
 
 変わった法律相談として、類型的に多いのは、以下のとおりです。
 
1 電波が飛んでいる。なんとかしてほしい
2 盗聴されいる。なんとかしてほしい
3 何者かにつけまわされている。なんとかしてほしい
 というものです。
 
  弁護士が「ねじふせる」というのはタブーです。
 
 1 電波が飛んでいる
 「そんな、ばかな」は禁句です。
 なお、通常生活していても電波は飛んでいます。ですから、携帯は地下鉄など特別な場所を除いて通話ができます。
 飛んでいることが「わかる」のがおかしいのです。
 私の回答は「大変ですね。電波遮断シートは10平方メートルで1万円くらいでありますよ。お望みなら、インターネットで検索してください。もしご自身でインターネットを使えないなら、使える人に頼んでみてください。それで、テントのようにして、電波が飛んでこないかどうか確認してみてください」です。
 電波遮断シートが10平方メートルで1万円くらいで買えるというのは本当です。
 
 2 盗聴されいる
 「そんな、ばかな」は禁句です。
 やはり「大変ですね。盗聴器発見サービスがあります。お望みなら、インターネットで検索してください。業者が見つかります。バスなどに広告のっていることもありますよ」と答えます。
 盗聴器発見サービスは現存します。もっとも、本当に商売になるかどうかは別問題ですが・・・
 
 3 つけ回されいる(それ自体が明らかに怪しい場合に限ります)
 やはり「そんな、ばかな」は禁句です。
 まず「毎日、24時間ですか?」と聞きます。
 普通、相談者は「はい」と見栄を張って答えます。
 そこで「興信所に頼んで、犯人をつきとめることをお勧めします。尾行者を特定して写真を撮ればよいのです。毎日、24時間つけ回されているなら半日で十分。興信所に頼んで、2時間程度なら2万円くらいです。」と答えます。「高い」と相談者がいうと「それが手っ取り早いですよ。犯人がつけまわしている写真がとれなければ、警察も裁判所も相手はしてくれえません。安いものです」と納得させます。
 
 その昔「毎日、屋根裏で、安倍首相とトランプ大統領と、マクロン大統領が議論してうるさいからなんとかしたい」という相談もありました(首相・大統領の名前は現在物ものに変えています)。
 
 まず「どんな内容でしたか」「通訳はいましたか」と聞きました。
 
 次に「大変ですね。いったい何語で話していましたか」と聞きました。
 
 「日本語」と答えたので、はじめて「トランプ大統領と、マクロン大統領は日本語はしゃべれないはずですが」で終わりでした。
 
 もし、英語やフランス語と答えたとしたら「安倍首相はしゃべれないはずですが」と返していたでしょう。
 
 こういう「法律相談」は、頭から相談者の言うことを否定してはダメです。
 
 「解決方法」らしきものを教えるか、「こら あかん」と退出させるのが賢いのです。
 
 なお、中途半端な、おかしな事件は、必須の書類は何かと考え「この書類がないと答えられません」「日を改めて〇〇を持って、もう一度来てください。私はいませんが、弁護士なら答えは同じです」と後の弁護士に「押しつけます」。
 
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