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2019年バックナンバー

雑記帳

元徴用工問題 原告側が換価手続きへ

 旧朝鮮半島出身の労働者の原告ら代理人弁護士が、平成31年2月15日、新日鉄住金の韓国国内の同社資産の換価手続きに入ると宣言しました。
 
 日本の最高裁判所は、平成15年7月22日判決などで、旧朝鮮半島出身の労働者の損害賠償請求を棄却しています。
 
 韓国の大法院は、平成30年10月30日、旧朝鮮半島出身の労働者の損害賠償請求を認容しました。
 
 日本の最高裁判所と韓国の大法院と、どちらが、日韓請求権協定の解釈が正しいかということになります。
 
 なお、日韓請求権協定の解釈及び実施に関する紛争について争いがあるのですから、日本政府は、日韓請求権協定に従って外交による解決を求めましたが、不調に終わっています。
 
 次は、外交による解決はできないとして、日本は、日本と韓国1人ずつ、あと1人第三国の委員が加わって3人の仲裁委員で構成される仲裁委員会の設置を求めることになります。
 日本と韓国は、仲裁委員会の決定に服するとされています。
 韓国は、第三国の委員が加わっての仲裁委員会の設置も拒否するでしょう。
 
 となると、日本は、国際司法裁判所(ICJ)に提訴して、判断を仰ぐことになりますが、韓国の応訴がないと、国際司法裁判所は判断を下せません。
 韓国は、仲裁委員会の設置や、国際司法裁判所(ICJ)の裁判に服することも拒否するでしょう。

 第二次世界大戦後、国連に国際司法裁判所が設置されました。
 
 国連の総会や常任理事会などから独立し、国際紛争について判決がなされます。
 
 裁判長を含め、15人の判事により構成されます。

 判事の任期は9年、再任することができます。
 
 慣行でアジアから3人、アフリカから3人、中南米から2人、東欧から2人、北米・西欧・その他から5人が選ばれています。また、この15人の中には国連安保理常任理事国5か国の判事が1人ずつ含まれることになっています。
 
 日本人の判事をみてみましょう。
 
 日本の国連加盟は昭和31年(1956年)12月18日のことです。
 
 田中耕太郎(1961年-1970年)
 小田滋(1976年-2003年)
 小和田恆(2003年-2018年。2009年から2012年所長。2018年・中途退官)
 岩沢雄司(2018年-2021年。小和田恆判事辞任にともなう補欠選任)
 
 もちろん、国連安保理常任理事国5か国以外に、これだけ判事を輩出している国はいません。
 
 いかに、日本人の法律家や外交官が、国際的に信頼されているかがわかります。
 
 韓国が、国際司法裁判所に判事を出せたことは一度もありません。
 
 現在の国際法秩序は、欧米列強と日本、言換えれば、日本を含む先進国によりつくられたといって過言ではありません。
 
 植民地支配をした国があっても、植民地支配をされた国はありません。
 
 韓国大法院の「植民地支配が不法であるから、植民地支配をされた国の国民には、植民地支配をした国の企業には慰謝料請求権がある」という理屈が正しいとしてしまうと、慰謝料請求をされる立場の国により形成された、現在の国際法秩序が根本から覆ってしまいます。
 
 端的にいえば、韓国大法院の理屈が正しいとすると、欧米先進国と日本は、いつ何時、損害賠償請求を受けるかも知れませんから、国際司法裁判所での訴訟になると、日本が勝訴する可能性が高いと思われます。
 
 従って、韓国は仲裁委員会設置の合意はしないでしょうし、IJCへの日本の提訴に応訴する見込みがないでしょう。
 
 日本は韓国に対し、仲裁委員会設置の合意をしない、IJCへの日本の提訴に応訴しない、つまり、国際法による決着を拒絶しているとして、経済制裁に踏込むかどうかの判断をすると思います。
 
 ただ、韓国経済は、中国経済の不調、米中貿易戦争などにより危機にありますし、他にも、現政権の失策のため、いつ資本逃亡が起きるかわかりません。
 日本の経済制裁のせいにされてはかないませんから、自重をすべきかと思います。
 
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