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2019年バックナンバー

雑記帳

厚生年金、パート加入拡大 企業規模を緩和へ

 厚生労働省は、平成30年12月16日までに、厚生年金に加入するパートなど短時間労働者を増やす方針を固めました。
 
 現在、加入義務があるのは従業員501人以上の企業ですが、これを引下げます。
 
 現在、パート労働者らについて厚生年金への加入義務があるのは従業員501人以上の企業で週20時間以上働き、月収8万8000円以上などの要件を満たした場合に限られます。
 
 それ以下の規模の従業員の場合は、厚生年金への加入は任意です。
 
 もちろん、加入拡大には保険料負担の増える企業側は慎重です。
 
 従業員500人以下の任意加入の企業のうち2316社を対象に労働政策研究・研修機構が調べたところ、パートらを厚生年金に加入させていたのは5.6%。加入申請見通しの企業も4.7%にとどまり、任意では加入が進まない様子がうかがえました。
 
 厚生年金は、労使で折半します。
 
 ですから、企業も労働者も、あまり気乗りはしないものです。
 労働者は、手取りが厚生年金掛金の2分1減りますから、手取りは少なくなります。しかし、年金が増えますから、どちらこちらないようにも思えます。
 
 しかし、企業は、厚生年金掛金の2分1を別途支払わなければなりません。
 ということは、賃金の方をカットするという方向に向かうでしょう。
 
 労働者との力関係ですが、新卒からは、他の企業との競争がなければ、新卒賃金を下げてくると思われます。
 
 年金は、基礎年金、厚生年金ともに、積立方式と賦課方式に大別できます。
 
 日本は、当初、積立方式でしたが、なし崩し的に賦課方式に移行しています
 
 つまり、現役世代が納付した年金掛金を、右から左に、年金受給世代に回しています。
 
 公的年金制度は長期的な制度であるため、社会・経済の変化を踏まえ、適切な年金数理に基づいて、長期的な年金財政の健全性を定期的に検証することは、公的年金の財政運営にとって不可欠といえます。
 
 このため、厚生年金保険法及び国民年金法の規定により、少なくとも5年ごとに、国民年金及び厚生年金の財政の現況及び見通しの作成、いわゆる財政検証を実施しています。
 
 「100年安心」というのは、年金額が、モデル世帯で、現役世代の給料の5割以上は維持されるとの説明医でした。
 
 平成26年に検証が行われましたから、次回の検証は平成31年です。
 
 所得代替率は5年ごとの年金財政検証の際に見直され、厚労省は現在の代替率が62.6%。現役時代の平均月収が30万円だった人は18万7800円の年金を受け取っており、モデルケース(平均的収入で夫が40年間厚生年金に加入して、妻はその間専業主婦であった場合の夫婦2人の合計)30年後の2043年度には年金額が約15万円(50.6%)まで下がるが、現役世代の給料の5割以上は維持されると発表しています(直近の平成26年度の財政検証)。
 
 計算にカラクリがあり、厚労省は、分母の現役時代の平均収入は税金や社会保険料を除いた手取額、分子の年金額は税・保険料を引かれる前の支給額面で計算しています。
 
 分母を小さく、分子を大きくすれば、数字が大きくなるのは小学生でもわかりますから、もちろん「インチキ」です。
 
 法律で「インチキ」を定めていますから、それが通用しています。国会議員もわからなかったのでしょうね。
本来改正すべきでしょう。
 
 その「インチキ」のうえ、平成26年の検証の際には、年金の運用利回りなどをごまかして(現実からかけ離れているといわれるほど、現実離れした楽観的に見積もっています。
 
 慎重な立場から低成長を前提とする3ケースでは、30年後の所得代替率は50%を割り込み、状況によっては国民年金や厚生年金の積立金が枯渇することを明らかにしています。
 
 次回の検証は平成31年です。
 政府としては、来年中に、厚生年金加入者を増やして、所得代替率50%を死守しなければなりません。
 なりふりかまっていられません。
 
 左から右まで批判殺到の「入管法改正」で、外国人移民を認めた理由は、経済界からの強い要望の他、外国人労働者を増やして、厚生年金を確保しようとしているとさえ言う人もいます。
 
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