本文へ移動

離婚

婚姻費用と養育費

 「養育費」と「婚姻費用」の違いが、ちゃんとおわかりでしょうか。
 一般の人は、「養育費」は理解しやすいのですが、「婚姻費用」は理解しにくいですね。
 
 まず、養育費とは「離婚後の夫婦」について、未成年の子どもが自立できるまで育てるのに必要な費用ということになります。
 衣食住に必要なお金、教育費、医療費など一切が含まれます。
 養育費は、子供を育てていない離婚した親から、子供を育てている離婚した親に支払われるお金です。
 どちらに親権があるかとか、どちらの姓を名のるかには関係がありません。
 また、養育費について「離婚した元配偶者が使う金」で「少なければ少ないほどいい」という考えの方がおられますが、もちろん誤りです。養育費の支払いは子どもに対する親としての義務です。

 本来は、離婚の時に養育費を決めておくべきでしょうが、とりあえず離婚して、離婚後でも養育費の分担について決めることは可能です。
 話合いがつけばそれでいいですし、話合いがつかなければ、家庭裁判所の調停、調停不成立なら、家事審判官(裁判官)が審判をして最終的に決着が付きます。

 また、話合いがついた後に、一方あるいは双方について、合意時の資力に大きな変化が生じた場合は、養育費の増額、減額の話合いをすることになります。話合いがつかなければ、家庭裁判所の調停となり、調停が不成立なら家事審判官(裁判官)が審判をして最終的に決着が付きます。

 家事審判官(裁判官)が、審判をして最終的に決着がくのであり、その基準が明らかになっていますから 「養育費算定表」 に応じた話合いをするのが合理的ですね。
 なお、養育費算定表は、令和元年12月に改訂されていますから、新しい方の算定表を使います。
 私のホームページをみているということは、パソコンやスマートフォンを使えるということです。それなら、いくらでもインターネット上にあります。

 表の見方ですが、「権利者」は、子を育てる側の収入で、「義務者」は、子を育てない側の収入です。
 また「給与所得者」「自営業者」に分かれています。
 会社員・パート・アルバイトなどは「給与所得者」の欄を見ます。源泉徴収表の「支払金額」の数字です。
 自営業者の場合は、「自営業者」の欄を見ます。確定申告書控えの「事業収入」から「必要経費」を引いた欄の数字を見ます。
 なお、子を育てる側が「働けるのに」「働かない場合」は、子を育てる側の収入を「0」にするのではありません。本来得られるべき収入を統計により算出して、その金額の収入があったものと「みなして」計算します。詳しくは 「養育費・婚姻費用の算定方式と算定表」 という本をお買い求め下さい。
 購入は、大阪弁護士協同組合(06)6364-8208にお問い合わせ下さい。ウェブでもお求めになれます。
 次に、婚姻費用は「離婚前の夫婦」の問題です。
 夫婦の間には、お互いの生活を自分の生活の一部として、相手方が自分と同じレベルの生活を続けていけるように扶養するという「生活保持義務」があり、夫婦はその資産、収入その他の一切の事情を考慮して、婚姻から生ずる費用を分担する義務があります。
 子供も含めた、衣食住に必要なお金、教育費、医療費など一切が含まれます。
 仲のいい夫婦の場合は「婚姻費用がいくらか」ということは問題になりません。
 通常、婚姻費用がいくらか」ということが問題になるのは、夫婦が別居したときです。

 やはり、婚姻費用について「出ていった配偶者が使う金」で「少なければ少ないほどいい」という考えの方がおられますが、もちろん誤りです。夫婦でいる限り、夫婦・子供が、同一のレベルの生活を保障するのが配偶者・親としての義務です。
 これも、話合いがつけばそれでいいですし、話合いがつかなければ、家庭裁判所の調停、調停不成立なら家事審判官(裁判官)が、審判をして最終的に決着が付きます。

 また、片方当事者が不誠実なため、お金を渡さない場合は、審判前の保全処分で仮に支払いを命じる審判をもらい、強制執行することもできますが、弁護士に依頼せずにすることは事実上不可能です。

 なお、養育料についても、婚姻費用と同様に、理論上は「審判前の保全処分」がありうるのですが、婚姻費用の分担について「審判前の保全処分」をとらざるを得ないことが比較的多いようです。
 その理由は、片方の当事者が、「未練たらしく」復縁を求め、そのため、相手方配偶者を「兵糧責め」にしようとして、全く渡さないことがあることが多いためと考えられます。
 離婚さえ成立していれば、金額の多寡はともかく、離婚自体は円満に成立しているわけですし、子供のために多少なりとも渡しているのが通常ですから、「審判前の保全処分」はあまりないようです。

西野法律事務所
〒530-0047
大阪府大阪市北区西天満2-6-8堂ビル407号
TEL.06-6314-9480
FAX.06-6363-6355
 
お気軽にご相談下さい

電話による法律相談は行って
おりません(土日祝日休)
9時~12時 1時~5時30分
TOPへ戻る