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離婚

財産分与の基準時

 財産分与の算定は、そう簡単なものではないのですが、一定のルールは存在します。
 
 「財産分与」(清算的財産分与。狭義の財産分与)は、基本的に、婚姻期間中に夫婦が協力して形成した財産を清算する手続きです。
  最高裁の判例により、「清算的財産分与」のほか、「扶養的財産分与」「慰謝料的財産分与」が認められています。
  「扶養的財産分与」「慰謝料的財産分与」を除外し、「清算的財産分与」についてのみ記載します。
 
 財産分与の基準時は、離婚のときではなく「婚姻関係の破綻」時になります。普通は「別居時」ということになります。もっとも、子供のために週末だけ帰っていた次期があるなど、いつが「別居時」との判断が難しいことがあります。
 
 財産分与の手続きは、まず、「別居時」の夫婦の総財産を算定します。
 
 学資保険の解約返戻金は、学資保険の契約者が夫か妻になっていますから、夫婦の財産です。未成年の子供の名義になっている財産は、子供がアルバイトをして貯めたお金や、お年玉や入学祝いの分を貯めたお金などを除き、夫婦の財産に算入されます。
  そこまで主張するかしないかは、当事者次第ということになります。
  離婚してから「○○ちゃんのお父さん、母さんと離婚するとき、○○ちゃんの貯金まで持っていっちゃったよ」と言われたりすることがあります。
  極端な場合、「子供が嫌がる」という理由を付けられて、面会交流の拒否をされたりすることがあります。

 次に、夫婦の総財産から、婚姻期間中に夫婦が協力して形成していない財産を控除します。
 
 代表的なものは、夫あるいは妻が、婚姻期間中に相続した財産、まとまって贈与を受けた財産です。これらは、夫婦が協力して形成した分ではありません。
  不動産は、比較的はっきりしています。預貯金などは、そのままの口座で残っているか、同額で預けかえられたりしている場合もはっきりしています。
 
 婚姻前の財産も、夫婦が協力して形成した分ではありません。
 
 やはり、登記簿謄本で権利関係が明確な不動産、預貯金などのうち、そのままの口座で残っているか、同額で預けかえられたりしている場合は争いになることはまれです。

 生活費と渾然一体となってしまっている場合に争いとなります。
 
 もっとも、離婚を前提として、財産を操作する夫婦はいませんから、「仕方がない」といえば「仕方がない」ということになります。
 
 なお、財産の基準時はいつかという問題が生じます。
「夫婦の総財産」「婚姻期間中に夫婦が協力して形成していない財産」は、いずれにしても、金銭として評価します。
 
 金銭として評価する以上、いつの時点で計算するかが問題となります。
  預貯金などは問題になることはまずありません。利息は知れています。
 
 不動産などは、別居時に比べて、相当安くなっていることがあります。
  通常は、財産分与時の時価ということになります。
 
 調停なら調停成立時、判決なら、口頭弁論終結時(判決を待つだけとなった時点)ということになります。
株券、ゴルフ会員券も同様です。あと、夫が医師の場合、医療法人が財産分与の対象となりますが、医療法人も、別居時ではなく、財産分与時となります。
 
「夫婦の総財産」-「婚姻期間中に夫婦が協力して形成していない財産」を、基本的には2分の1ずつ分けるということになります。
  普通は、名義は、夫に偏っています。
  裁判所が配布している、エクセルファイルに入力し、不動産の名義の移転を命じたり、預金名義の移転を命じたりしたうえ、2分の1ずつになるよう、金銭的給付で調整することになります。
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