2012年バックナンバー
小規模法人と消費税
平成23年10月17日、検査院は財務省に対し、業績が好調で売り上げが3億円を超える会社まで免税されていたことがわかった。課税逃れととれるような例もあり、問題点を解消するよう財務省に制度の再検討を求めました。
この優遇措置は、小規模な会社の税負担を軽くするとともに、複雑な消費税の申告手続きの負担を軽減する狙いがあります。
しかし、この制度を利用した節税策は企業間で広まっている可能性があり、検査院は「消費税の増税論議が注目される中、抜け道ともいえる実態がないか調べた。制度を利用し租税回避したような会社もあった」としています。
なお、サンプルは、全国8国税局と47税務署で抽出し、平成18年に設立されて2年間消費税の免除を受けたサービス業などの株式会社と有限会社(平成18年4月30日まで「有限会社」がありました)1283社を調べたそうです。
うち343社は1年目の売上高が1000万円を超え、超えた会社の平均は約6400万円だったそうです。
これらの会社に2年間、消費税を課したとすると総額約11億3000万円。売り上げが1年目で1億円を超えた社は58社、3億円超も9社に上ったとのことです。
通常の起業家が、資本金が1000万円未満の会社を設立し、売上がどんどん「のびた」というのなら問題はありません。
問題なのは、大企業が、最初は資本金の小さい子会社を設立して2年間消費税を免除させ、会社を実質廃業にして、また、資本金の小さい子会社を設立して2年間消費税を免除させ、これを繰返すという「やり方」かと思われます。
ちなみに、弁護士法人も同様のようです。
弁護士事務所設立にあたり節税できる資本金額を相談したものの、誤ったアドバイスを受けて損害を受けたとして、顧問税理士を相手取って約3000万円の損害賠償を求めたものの、平成21年2月19日、東京地方裁判所にて棄却されたという弁護士法人がありました。
過払い金でコマーシャルをしている弁護士法人です。
平成17年4月、資本金額1000万円で弁護士法人を設立したのですが、極端な話、1円でも資本金が少なければ、2年間消費税を納めなくて「すんだ」はずだという主張でした。
なお、2年間で約3000万円ということは、2年間で、6億3000万円と「消費税のかかる仕入れ」の合計の売上があったということになりそうです。
また、消費税は、依頼者から受領していて、それを「ふところ」に入れ損なったということで、あまり、同情はできません。
ちなみに、私も、弁護士「一般」にいえるとおり、税金に「弱い」弁護士の一人です。
計算は合っているでしょうか。