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2011年バックナンバー

アイソトニック飲料

固有名詞は書きませんが「スポーツ飲料」というのがあります。

 効率良く水分を補給し、体に対する負担を少なくするように、カリウムイオン、ナトリウムイオンなど電解質、マグネシウム・カルシウムといったミネラル分を含んでいます。
 また、生理食塩水(0.9%のNaCl)に近い浸透圧、疲労の原因となる乳酸の分解を助けるクエン酸や、エネルギー源であるブドウ糖やショ糖も含まれています。

 ところで、生理食塩水(0.9%のNaCl)は、どこからきている濃度でしょうか。

 マッカラムという学者が「blood reflex the early seas(体液は昔の海を反映する)」という説を唱えました。
 生物が、陸上で生活するようになったのは先カンブリア紀(40億年前)のときであり、当時の海の塩分の濃度は、現在の陸上の生物の体液である生理食塩水(0.9%のNaCl)程度であったとするものです。

 しかし、後日の検証の結果、推定される先カンブリア紀塩分濃度は、マッカラムの仮定した濃度(0.9%のNaCl)ほどに低くはなかったいそうです。
 40億年前の海水は、現在の海の3.7%の塩分濃度(生理食塩水の4倍)ほどではないにしても、生理食塩水(0.9%のNaCl)の2.5倍程度の塩分濃度だったと推定されるそうです。

 なぜ、2.5倍の差が生じているかの理由については、淡水が流れ込む河口が酸素が豊富で、栄養や温度などの条件が良く、生物が発生しやすかったため、海水が希釈された低い濃度の海水中で生物が繁殖し、この環境と同じ濃度の体液ミネラル組成のまま陸上生活するようになったと推測するのが妥当ではないかといわれています。
 海のど真ん中に住んでいる生物から陸上生物が生じたのではなく、海の塩分が河川の水で希釈され、濃度(0.9%のNaCl)程度のところで生息していた生物が、現在の陸上生物の祖先ということになります。

 ちなみに、海で遭難したからといって、海水は飲めません。本来は、細胞内に適度な水分が足りない状態で、高塩分の海水を飲めば、細胞外液の浸透圧が高まる結果、細胞内液が外へ出ていってしまって、状況が余計悪くなります。

 なお、生理食塩水というのは、ある意味重要で、体液喪失が、水分主体のときは高張性脱水、ナトリウム主体のときは低張性脱水となります。その中間の等張性脱水といいます。

 真夏のゴルフ場で、水だけを補給していると、塩分不足の低張性脱水になるので、水飲み場に塩がおかれていたゴルフ場もありました。
 最近見なくなりました。
 今は、水を飲むのではなく、茶店で、生理食塩水に近く、クエン酸やブドウ糖・ショ糖などが含まれたスポーツ飲料を飲んだり、スポーツ飲料をカートにおいたりして適宜水分を補っている人が多いでしょう。

 ある程度歳をとれば、真夏と真冬は、いくら好きだからといって、ゴルフをするのは危険です。
 夏なら北海道、冬なら宮崎あたりへいってゴルフをするのが賢明です。

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