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2013年バックナンバー

ICJの捕鯨裁判

日本が南極海で行っている調査捕鯨が国際条約に違反するとして、オーストラリア政府が、国際司法裁判所(ICJ)に訴えた裁判で、平成25年7月16日、日本側が「条約にのっとった調査であり、商業捕鯨ではない」と主張し、口頭弁論が終結し、年内にも判決が出される見通しとなりました。

 平成22年、オーストラリア政府が、日本政府を相手取り、「日本が南極海で行っている調査捕鯨は、実態としては商業目的の捕鯨であり、国際捕鯨取締条約に違反する」として、調査捕鯨の違法性を認定するよう求めていました。

 オーストラリア政府は、当初「南極大陸の一部はオーストラリアの領土であり、領土から200カイリの排他的経済水域(EZZ)での捕鯨は違法である」という訴訟を提起しようと考えていたようです。

 ただ、国際司法裁判所(ICJ)が、「南極大陸にオーストラリアの領土はない」という判決をくらうと、政権が転覆しかねない大騒ぎになるので、「日本が南極海で行っている調査捕鯨は、実態としては商業目的の捕鯨であり、国際捕鯨取締条約に違反する」という訴訟にしました。
 賢明な選択です。

 日本としては、国際捕鯨取締条約に合致していて、乱獲どころか、調査捕鯨により、クジラが増えすぎて、海の生態系が乱れることを防止する目的の調査捕鯨であるとの主張のようです。

 オーストラリア側の主張がすべて認められるようなことになれば、日本が行ってきた南極海での調査捕鯨ができなくなります。

 また、判決の行方は、IWC(国際捕鯨委員会)の議論にも影響を与えるのは必至とみられています。
 合意形成がむずかしくなるからです。


 捕鯨は、日本の文化でもあります。
 ただ、私自身は、小学校のころ、あまりにもまずい「クジラのコハク揚げ」を給食で出されたため、食傷気味で、全くクジラは食べません。
 おいしいとも思いませんし・・


 ちなみに、日本政府は、島根県の竹島の関係で、韓国相手に、国際司法裁判所(ICJ)を提起しようとしましたが、韓国は応訴する意思はないとのことで、未提訴です。
 韓国の応訴しないという態度は残念ですね。
 韓国は、勝訴する自信はないでしょう。また、韓国は、そもそも、国際司法裁判所(ICJ)を信用していません。韓国の司法は、日本と異なり、先進国式の司法=欧米法による司法ではないようです。
 なお、北方領土については、ロシアと交渉中で、程度の問題はあれ返還は確実なので、国際司法裁判所(ICJ)に提訴する段階ではありません。
 沖縄県の尖閣諸島は、中国の国際司法裁判所(ICJ)提訴待ちです。日本は国際司法裁判所規約第36条2項にもとづいて、国際司法裁判所の管轄を事前に認める旨の宣言を行っていますから、中国が、国際司法裁判所の管轄を事前に認める旨の宣言を行なえば(行うとは考えられませんが・・)、日本は、応訴を拒否できません。
 なお、現状を変更しようする側が提訴するのは、司法一般に言えることですね。


 なお、国際司法裁判所(ICJ)は、国連の「主要な司法機関」として、国家間の争訟事件の裁判や、法律問題について勧告的意見を述べることができる唯一の普遍的な国際司法機関です。

 「国際司法裁判所(ICJ)の概要」を、ご覧下さい。

 国際司法裁判所(ICJ)の、平成25年3月31日時点の裁判官は、以下のとおりです。

 アジア3名
 Xue Hanquin(中)
 小和田恒 Hisashi Owada(日)
 空席1

 アフリカ3名
 Julia Sebutinde(ウガンダ)
 Abdulgawi Ahmed Yusuf(ソマリア)
 Mohamed Bennouna(モロッコ)

 欧米・その他5名
 Giorgio Gaja(伊)
 Thomas Buergenthal(米)
 Christopher Greenwood(英)
 Ronny Abraham(仏)
Kenneth Keith(NZ)

 ラテンアメリカ2名
 Antonio Augusto Cancado Trindade(ブラジル)
 Bernardo Sepulveda-Amor(メキシコ)

 東ヨーロッパ2名
 Peter Tomka(スロヴァキア)
 Leonid Skotnikov(露)

 国際司法裁判所(ICJ)の日本人判事は、田中耕太郎 (1961年-1970年)、小田滋(1976年-2003年)、小和田恒(2003年-現在)です。

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