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2013年バックナンバー

無罪となった人と刑事訴訟

平成9年に東京・渋谷で起きた東京電力女性社員殺害事件で無期懲役判決を受けて服役し、平成24年11月に再審無罪が確定した、ネパール人の元被告マイナリさんについて、東京地方裁判所は、平成25年2月6日、請求どおり約6840万円の刑事補償を認めました。

 刑事補償とは、無罪が確定した元被告に、国が不当に身柄を拘束したことについて補償金を支払う制度です。

 金額は裁判所が決定します。
 1日あたり上限1万2500円で、マイナリさんの拘束期間は昨年6月までの約15年間(5475日)で、地方裁判所は、上限額を適用しました。

 マイナリさんは一審で無罪、二審で無期懲役の逆転有罪判決を受け、平成15年に確定し、平成24年6月に新たなDNA鑑定の結果から再審開始が認められ、平成24年11月に無罪が確定しました。

 DNA鑑定は、日々進歩しつつあります。
 また、裁判官や検察官は、もともと理系が不得手な人が多く、「科学的」「鑑定」という言葉に弱いですね。

 15年間で、6840万円は安いですね。

 ちなみに、私が、昭和55年4月に大阪地方裁判所第3民事部の裁判官に任官したとき、最初に印鑑を押したのが、刑事補償でした。
 何千万だった記憶があります。

 当該事案は、殺人について事実は認められたものの、鑑定で精神異常が認められ、心神喪失として無罪になったという事案です。無罪判決を言渡した裁判官は転勤していましたから、私が印鑑を押すことになりました。

 なかなか、納得いかなかったという印象があります。
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