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2013年バックナンバー

沖縄は中国領?

平成25年5月8日付の中国共産党機関紙・人民日報は、沖縄県・尖閣諸島に関し、「歴史的な懸案で未解決の琉球(沖縄)問題を再び議論できる時が来た」と主張する論文を掲載しました。
 中国政府の公式見解なのかどうかはわかりません。

 「琉球は明清両朝の時期、中国の属国だった」とし、日本が武力で併合したと主張し、下関条約の調印の際、「清政府に琉球を再び問題にする力はなく、台湾とその付属諸島、澎湖諸島、琉球は日本に奪い去られた」と指摘しています。

 琉球は、かつて、李氏朝鮮や阮朝(ベトナム)と同様、清に朝貢をしていました。
 李氏朝鮮や阮朝(ベトナム)は清朝のみです。
 もっとも、琉球は、薩摩藩にも朝貢していました。
 今風にいえば「二またをかけていた」ことになります。

 明治政府のもとで、琉球処分がなされました。
 1872年(明治5年)琉球藩設置に始まり、1879年(明治12年)の沖縄県設置に至り、これによって琉球王国は滅びました。

 日清戦争は、下関条約の締結により終了しました。
 1895年(明治28年)のことです。

 下関条約締結の経緯、交渉内容等の詳細は、明治時代の外務大臣陸奥宗光の「蹇々録(けんけんろく)」に詳細が記載されています。

 漢字・カタカナ交じりの文章で、昔の法律の条文と同じで、清音と濁音・半濁音の区別がありませんから、読みにくいかも知れません。
 昔の法律の条文に慣れた、ある程度の年の法律家なら読めます。結構時間はかかりますが・・

 ちなみに、陸奥宗光は、「陸奥」という姓ですが、和歌山県出身(紀州藩出身)です。

 和歌山県出身の著名な政治家は、案外少なく、内閣総理大臣は、社会党の片山哲(田辺市出身。選挙区は和歌山県ではありません)1人しかいません。
 もっとも、第2次安倍内閣の安倍総理大臣は「96代」(62人目)だそうですから、県民数が対全国比0.8%の和歌山県としては、1人でも元首相がいるということは、悪くはないかも知れません。
 徳川時代に遡れば、8代将軍徳川吉宗を筆頭に結構いますが・・


 話を戻して、中国が「琉球は明清両朝の時期、中国の属国だった」とし、日本が武力で併合したと主張して、「かつての属国は自国の領土」だというのであれば、韓国やベトナムも同じ理屈です。

 特に、第2次世界大戦の戦勝国フランスの植民地だったベトナムに比べ、韓国と北朝鮮は、第2次世界大戦の敗戦国日本の一種の植民地でしたから、中国が「韓国や北朝鮮は中国の属国であった」「にもかかわらず日本に奪い去られた」という理屈で、中国領として主張しても不思議ではなくなることになりますね。


 下関条約は、李氏朝鮮(現在の韓国と北朝鮮)が、清の属国であったことを端的に示しています。日本人は、当然、学校で習っています。李氏朝鮮が「大韓帝国」となったことも知っています。
 何で、領土割譲や賠償金が「第1条」になっていないのでしょうか。体裁があったのかも知れません。

(下関条約)
第一條 淸國ハ朝鮮國ノ完全無缺ナル獨立自主ノ國タルコトヲ確認ス因テ右獨立自主ヲ損害スヘキ朝鮮國ヨリ淸國ニ對スル貢獻典禮等ハ將來全ク之ヲ廢止スヘシ

(Shimonoseki treaty)
1: China recognizes definitively the full and complete independence and autonomy of Korea, and, in consequence, the payment of tribute and the performance of ceremonies and formalities by Korea to China, that are in derogation of such independence and autonomy, shall wholly cease for the future.

 今の韓国では、当時の朝鮮国が清の属国であったことを隠すため、このことを学校で教えていないそうです。本当かどうかは知りません。私は、韓国語は読めません。

 ただ、韓国の人も、英語さえ読めれば「Shimonoseki treaty」で検索すれば「朝鮮國カ完全無缺ナル獨立自主ノ國」でなかったことは、すぐにわかります。
 「將來」全ク之ヲ廢止スヘシ、shall wholly cease「 for the future」.ということですから。

 韓国のメディアが、中国が沖縄が中国領と主張したとのみ伝え、中国の論法が、自国と北朝鮮に危険であるということを報道していないのは、そういう点にあるのかも知れません。

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