よもやま話 バックナンバー1/2
仰げば尊し
いよいよ3月、卒業式のシーズンです。
定番は「仰げば尊し」ですね。
仰げば 尊し 我が師の恩
教の庭にも はや幾年
思えば いと疾し この年月
今こそ 別れめ いざさらば
古めかしいということで、『贈る言葉』(海援隊)、『さくら』 (森山直太朗)、『桜 』(コブクロ)などが歌われる学校もあるそうです。
ちなみに、意味がわからないまま歌っていた人も多いのではないでしょうか。
「おもえば いととし」の「いととし」は、「いと疾し」と漢字で書けばわかりますね。「大変速い」ということです。
「今こそ 別れめ」の「別れめ」を「別れ目」と勘違いしている方おられませんか。
古文の係り結びの法則によります。
つまり「ぞ」、「なむ」、「や」、「か」に対しては、結びが「終止形」ではなく「連体形」、「こそ」に対しては結びが「終止形」ではなく「已然形」になるという法則です。
現代文は、動詞の活用は「未然」「連用」「終止」「連体」「仮定」「命令」ですが、古文では「未然」「連用」「終止」「連体」「已然」「命令」でした。
「こそ」という強調の言葉がなければ、「今別れむ」ですね。
ただ「今こそ」となっていますから、已然形で終了しなければなりません。
「む」(「何々しよう」という意味)の終止形は「む」ですが、已然形は「め」になります。終止形の「む」のかわりに已然形の「め」になっている、それだけです。
つまり「今こそ 別れめ」は、「さあ 今別れよう」という意味です。
間違っても「別れ目」ではありません。
私も、古文を習う前は完全に勘違いしていましたが・・