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司法 バックナンバー 1/3

生活保護と自家用車

 「生活保護における生活用品としての自動車保有に関する意見書」がでて、批判が圧倒的に強いようです。

 まず、断っておきますが、日本弁護士連合会の会長声明は、一般の弁護士会員の考えと同一ではない声明が多いことをお含み置き下さい。
 理由は、弁護士の政策的な考えは、多種多様であって、絶対に「まとまる」はずもありません。
 声明の内容の作成過程において、各弁護士が「かかわる」ものでもありません。
 多くの声明は、多数派ということが多いかというのも疑問です。むしろ、少数派ということが多いかと思います。


声明は、特に地方では、公共交通機関が不採算を理由に年々縮小しており、車がないと通勤が困難で、就職活動にも不利になっている。また、郊外型店舗が増えて、従来の商店街がシャッター通り化しており、生活費を節約するためにも、郊外の店で食料品や日用品を買わなければならないという。さらに、都市部でも、中心部でなければ、電車やバスの本数も少ないなどとしています。
また、意見書では、こうしたことは、受給者の最低生活保障や自立助長に結びついておらず、「生存権保障に欠ける」と指摘。生活保護法の目的に反するばかりでなく、「不当に移動の自由を制限する」と主張しています。


 常識的に考えれば、生活保護受給者は、バスなどの公共交通機関、自転車、せめて原付や小型バイクでの移動が、納税者の目からすると妥当でしょう。
 生活必需品ではありえません。
 もちろん、現在の運用のように、公共交通機関が少ない地域に住む障害者らが通勤や通院で使う場合などに限るとするのが妥当でしょう。

 なお、弁護士をしていると、一生懸命働いて、生活保護以下の生活しかできない人を多く見ます。それでも、生活保護には頼りません。

 行政実務、具体的には、厚労省の保護課では、意見書の提出を受けたものの、まともにあつかわないでしょう。
 その程度です。

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