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2015年~2017年バックナンバー

世帯別平均貯蓄1820万円のからくり

 総務省がまとめた平成29年の家計調査によりますと、各家庭が保有する預貯金や株式などの金融資産(貯蓄)の額は平均で1820万円であることは前回のコラムに書きました。
 
 「世帯の貯蓄の平均値は1820万円」と聞くと、「みんなそんなに貯めているのか、私はそんなに持ってない」考えている人もいるでしょう。
 
 調査の範囲は全国の2人以上の世帯です。単身世帯は含まれていません。
 
 「貯蓄」の定義ですが、預貯金だけではありません。
預貯金(普通預金・定期預金など)のほか、有価証券(株式、国債、社債、投資信託など)、積立型の生命保険や個人年金なども含みます。
 
 株式などの有価証券は時価ですから、株高になると膨らみ、株安になると減額します。
 
 なお、積立型の生命保険や個人年金は解約返戻金です。
たんす預金は含まれません。
 
 とはいえ、株や生命保険もそんなに持っていないのに・・という人が多いでしょう。

 実感と異なる理由は、平均は、突出して大きかったり小さかったりするデータがあると、平均値もその影響を受けます。
 
 明確な統計はありません。
 
 富裕層は、純金融資産が1億円以上と定義されますが、日本では約100万世帯以上あるとされています。日本の世帯数は6000万弱です。
 
 超富裕層は、純金融資産が5億円以上の純金融資産を持っている人と定義されますが、日本では6万世帯弱あるとされています。
 
 100万世帯以上ある富裕層と超富裕層が持つ金融資産は日本の総金融資産の2割と推定されています。
 
 6000万弱の世帯のうち、100万世帯強の富裕層と超富裕層(2%弱)が持つ金融資産は日本の総金融資産の2割、多いとみるか少ないとみるかですが、日本は公平な社会と評価されています。

 なお、貯蓄の現在高に関する世帯分布は、正規分布(釣り鐘型のグラフになります)ではなく、貯蓄が低い世帯のほうにかなり偏っています。
 
 貯蓄現在高階級別の世帯分布を見ると、平均値(1820万円)を下回る世帯が67.7%と約3分の2を占めています。

 なお、代表値としては、平均値(AVERAGE)以外に、中央値(MEDIAN)、最頻値(MODE)などもあります。
 
 エクセルには、ちゃんと関数が用意されています。
 
 中央値とは、データを大きい順(あるいは小さい順)に並べたときに、真ん中に来る値です。
 
 今回の調査の中央値は1064万円です。
 
 最頻値とは、データの中でもっとも頻度が高いところです。
 
 もちろん、最頻値は「貯蓄100万円以下」で、全体の10.5%を占めています。

 ちなみに、貯蓄現在高階級別の世帯分布を見ると、平均値(1820万円)を下回る世帯が67.7%と約3分の2を占めているのですが、平均値を引き上げている3分の1の世帯はどのような層でしょう。
 
 一部の富裕層は間違いありませんが、富裕層と超富裕層は2%弱にすぎず、3分の1には、到底、及びません。
高齢者が多いんですね。
 
 2人以上の世帯について世帯主の年齢階級別に1世帯当たり貯蓄現在高をみると、40歳未満の世帯が574万円となっているのに対し、60~69歳の世帯では2312万円、70歳以上の世帯が2446万円となっています。
 
 なお、1世帯あたりの負債額の状況をみると、40歳未満の世帯が1098万円と最も多くなっています。負債のほとんどは住宅・土地のローンです。
 
 40歳未満の世帯では負債と貯蓄の差額は大幅なマイナスです
 
 ただ、負債をかかえた人の多くは自宅(土地建物、マンション)をもっていますから、さほど悲惨ではありません。
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