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2015年~2017年バックナンバー

アディーレが日本弁護士連合会に不服申立

 アディーレ法律事務所の広告が景品表示法違反(有利誤認)に当たるとして東京弁護士会が2年間の業務停止とした問題で、アディーレ側が「明白な事実誤認があり、処分は重すぎる」として、日本弁護士連合会に処分取り消しを求めて審査請求を申立てました。

 

 弁護士の懲戒は、各弁護士会の懲戒委員会の議決によってなされます。

 

 弁護士会は、都道府県に1つが原則です。

 

 ただ、北海道は、もちろん九州全体よりはるかに広く、地方・家庭裁判所が4つ(札幌、函館、旭川、釧路)ありますから、弁護士会は4つあります。

 また、東京は、あまりにも弁護士が多いのと、歴史的理由で、東京弁護士会、第1東京弁護士会、第2東京弁護士会と弁護士会が3つあります。

 ということで、全国に弁護士会は52会あります。

 

 弁護士や弁護士法人は、52ある弁護士会のいずれか1つに登録しなければなりません。
 弁護士や弁護士法人の登録してある弁護士会が懲戒手続きをします。

 

 東京弁護士会は、弁護士法人アディーレと東京弁護士会所属の弁護士1人に業務停止の懲戒処分をしました。
  弁護士法人アディーレは東京弁護士会所属ですから、東京弁護士会が懲戒手続きをします。

 懲戒手続きに不満があれば、日本弁護士連合会に審査請求の申立をします。
 日本弁護士連合会の審決に不服があれば、東京地方裁判所に行政訴訟を提起することができます。

 

 なお、旭川弁護士会、函館弁護士会、釧路弁護士会、青森県弁護士会、岩手弁護士会、福島県弁護士会、栃木県弁護士会、群馬弁護士会、長野県弁護士会、静岡県弁護士会、金沢弁護士会、滋賀弁護士会、和歌山弁護士会、広島弁護士会、香川県弁護士会、愛媛弁護士会、熊本県弁護士会の17会に、アディーレ所属の弁護士への懲戒申立がなされていましたが、17会は、各弁護士会所属の弁護士会会員に「懲戒しない」としています。

 

 審査請求に戻って、アディーレの東京弁護士会への審査請求の申立書で法人は、今回の広告に「さしたる顧客誘引力があるとはいえず、依頼者が委任先を選択する意思をゆがめられることは想定しづらい」と主張し、「処分を決めた東弁懲戒委員会が、アディーレの報酬総額が平成21年10月から27年7月までで約268億5400万円に上り、『社会的影響が極めて大きい』と指摘した点については「受任事件数や報酬額の増加は広告と無関係の要因で生じたもので、短絡的な推認」と反論しました。

 

 その上で「景表法への配慮を欠いていた点はあるが、単純な過失」と主張し、返金に応じ、改正景表法が定める課徴金相当額の約6億6500万円を公益財団法人に寄付したことなども考慮すれば「せいぜい戒告にとどめるべきで、業務停止2カ月の処分は著しく相当性を欠き、違法だ」として、一日も早く処分を取り消すよう求めています。

 

  なお、他の弁護士会に起こされたアディーレや所属弁護士への懲戒請求のうち、17の弁護士会が「懲戒しない」と判断したものの、日本弁護士連合会綱紀審査会の議決を受けて、日本弁護士連合会が取り消したことも判明しています。

 17弁護士会に改めて懲戒の可否を検討するよう求めたということになります。

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