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2015年~2017年バックナンバー

所得税増減税

 自民党税制調査会は、平成29年11月7日、平成30年度税制改正で、高所得を得ている会社員や年金受給者を対象に、所得税増税を検討していることを検討し、平成29年11月14日ごろに与党税制改正大綱をまとめることとしました。

 

 まず、高額給与所得者の給与所得控除の減額です。

 

 給与所得控除とは、給与所得者の収入の一部を必要経費とみなして差引く仕組みです。

 自営業者は、収入から経費を控除して所得を計算します。
 給与所得者控除は、自営業者の「経費」に該当するものです。年収が増えるほど控除額は大きくなりますが、その昔は「サービスしすぎ」と考えられたほど金額は大きく、高額の給与所得者の優遇となっていました。

 

 平成29年から、年収が1000万円を超すと控除額が220万円で頭打ちとなっています。これを、たとえば、年収800万円を超すと控除額が200万円で頭打ちとなるように厳しくします。

 実質的に考えて、給与所得者の「必要経費」は、800万円であろうが、1000万円であろうが、1500万円であろうが、2000万円であろうが、あまり変わりません。
 ある意味当たり前という気がします。

 

 次に、年金受給者の年金控除の減額です。

 

 年金収入は、通常、雑所得となります。
 雑所得の金額は、収入金額から必要経費を差し引いて計算するのが原則ですが、公的年金等を受け取った場合は、収入金額から公的年金等控除額を差引いて計算します。

 これも、現役並みの高収入を得ていて、かつ、年金も受給している人にとって、「サービスしすぎ」という大盤振る舞いでした。

 

 例えば、収入が1000万円を超えた年金受給者について控除額を頭打ちにするという案が検討されています。
 やはり、今まで、なぜ制限がなかったのか不思議なくらいです。

 

 さらに、基礎控除です。
 一律38万円ですね。

 低所得者に控除額を上積みし、高額所得者の控除額を制限するということの検討をするということです。

 

 38万円が増えようが減ろうがあまり影響がないようには思いますが、悪いことではありません。

 

 高額給与所得者の給与所得控除の減額と、年金受給者の年金控除の減額による増税で得た財源を使って、低所得者の減税に充てて、全体で、所得税の増減はなしとするという方針だそうです。

 正しいと思います。

 

 ただ、自民党に、率先して格差是正のための租税政策をとられてしまいますと、野党の攻めどころがなくなってしまいます。
 また、自民党は、企業に従業員の賃上げを求めていますし、また、賃上げをした会社に租税優遇策をとるとの検討を開始しています。

 自民党に、このようなことをやられると、野党は攻めどころがなくなってしまいます。
 攻めるのは「もりかけ」くらいとなるということですね。気の毒といえば、気の毒な話です。

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