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2015年~2017年バックナンバー

平均のマジック

 平均値という言葉をよく見ます。

 

 代表値の1つで、代表値は、「平均値」(mean)、「中央値」(medium)、「最頻値」(mode)があります。

 

 「平均値」は、全ての観測値の総合計を、観測地の総個数で割ったものです。
 「中央値」は、測定値を大きさ順に並べたとき、ちょうど中央に位置する値です。
 「最頻値」は、最も度数の多い測定値のことです。

 

 一般的には、「平均値」ではなく、「中央値」や「最頻値」が実感に近いことがあります。

 

 勤労者世帯の平成28年の世帯平均貯蓄額は1820万円です。
 「えっ!そんなにあるの?」と思う人は多いはずです。

 

 通常、平均といえば、身長や体重を思い浮かべます。

 

 身長や体重は、「正規分布」という「つり鐘型」の分布をしますから、「平均値」は、「中央値」であり、また、「最頻値」であることが多いのです。

 

 貯蓄は違います。

 

 少ない人は「0」です。これ以下にはなりません。
 多い人に「きり」はありません。

 

 高額の貯蓄がある世帯ほど、全体に占める割合が低くなっていますね。

 何億、何十億、何百億という貯蓄がある人もいるでしょう。

 少数の大金持ちが全体の平均値を押上げているため、実感より、かなり高めの平均値になります。

 

 このようなデータ分布の場合は、いわゆる平均値ではなく、「中央値」や「最頻値」で見るべきでしょう。

 

 年収の多い世帯から少ない世帯に並べた場合、あるいは、年収の少ない世帯から多い世帯に並べた場合、ちょうど「真ん中」の世帯の預金額は、だいたい1064万円くらいです。

 

 なお、「最頻値」は「0円以上200万円以下」ということです。

 多いですね。

 

 私たち弁護士がよく見る破産者はここに該当します。ただ、預金は、わずかにありますが、200万円はないでしょう。あまり多いと(現金99万円)、破産廃止にあたり、按分弁済をさせられます。
 つまり「借金世帯」も「0円以上200万円以下」に含まれています。

 

 その昔、ベルコに結婚式の積立をしていた女性がいて、破産しようとしたら、解約返戻金が200万円を上回っていて、任意整理で終わった依頼者がいました。

 

 必要以上に落ち込む必要もありませんが、必要以上に勇気づけられるというものではありません。

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