2015年~2017年バックナンバー
安倍首相の訪米
外交上の訪米の形態は、「公式訪問」(official visit)ですが、「国賓訪問」(state visit)と同じレベルの待遇が用意されています。
大統領制の国とは異なり、日本の場合、天皇が首相を任命しますから、「公式訪問」となります。
例えば、G7の国でいうと、最高権力者が元首の国は、アメリカ、フランスだけです。
アメリカ大統領、フランス大統領は、国家元首として「国賓訪問」となります。
日本には天皇が、イギリスとカナダは女王がいますから、首相は元首ではありません。
ドイツ、イタリアは、公選された名目的な大統領がいますから、やはり、首相は元首ではありません。
例えば「礼砲」ですが、国家元首の「国賓訪問」は21発、首相の「公式訪問」は19発となります。
しかし、今回の安倍首相の訪問は、儀典面でも、空港出迎えイベント(Arrival Ceremony)や、ホワイトハウスの公式晩餐会(State Dinner)が実施されますから、国賓訪問の基本的な要件を備えています。外国首脳のためのホワイトハウスの公式晩餐会は、過去7回しかないそうです。
安倍首相は、平成27年4月29日(昭和の日)、米議会上下両院合同会議で演説を行ないます。
上下両院合同会議は、大統領の一般教書演説を行う場として有名ですね。
上下両院合同会議で、外国の要人の演説もしばしば行われます。
これまで上下両院合同会議は、のべ116回の外国要人の演説を行っていて、国別の内訳を見ると、最多の8回はイギリス、フランス、イスラエル、7回はメキシコ、6回はイタリア、アイルランド、韓国、5回はドイツ、4回はインド、3回はカナダ、アルゼンチン、オーストラリア、フィリピンとなっています。
米議会上下両院合同会議で演説は、大騒ぎするほどの話でもないですね。
イギリス、カナダ、オーストラリアは、有志連合で、アメリカと一緒に戦争をする緊密な国で別格でしょう。また、メキシコは隣国ですね。
日本の首相が他国と比べて国会により拘束されているので、海外に行く機会が少ないという単純な理屈でしょう。
顔ぶれを見ても、ドイツとフランスが日本と同格くらい、あとは、どうみても「格下」の国です。
アメリカでの演説ですから、アメリカやアメリカ人の興味のある演説をすべきでしょう。
環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)を推し進めるという演説はするでしょう。
ただ、どの程度妥協をするかは別問題です。
防衛関係については、集団的自衛権をおしすすめて、アジアでのアメリカの負担を軽減するというとアメリカ受けしますね。
あと、安倍首相の「積極的平和主義」ですね。
第二次世界大戦の反省については十分話を尽くすべきでしょう。
アメリカの政治家のうちには、安倍首相を「歴史否定主義者」と考えている人がいるかも知れません。
第二次世界大戦について、「日本の自衛戦争である」「無差別大空襲は戦争犯罪である」「原爆投下は戦争犯罪である」「東京裁判は違法である」などとは考えていない、第二次世界大戦は日本に責任のある戦争であった、反省しているで十分でしょう。
アメリカとしては、それだけ述べてもらえば十分です。
それ以上、述べる必要はないかと思います。アメリカで演説するわけですから。
テロとの戦いや、難民支援は「ふれる」程度でいいと思います。意見の対立はありません。
日本が「できる」ことと「できないこと」があります。