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2018年バックナンバー

雑記帳

小4での色覚検査、中止から10年 異常知らず進路選択、トラブルも

 平成15年3月、文部科学省は学校保健法施行規則の定期健康診断の必須項目から、色覚検査を削除しました。

 

 これは、先天性色覚異常を有する児童、生徒が、色覚検査そのものや、色覚に関する問題で差別が生じたり、不利益を被ったりすることが社会問題としてしばしば取り上げられていたからだと思われます。

 

 その理由として挙げられたのは以下の記述です。

 「色覚異常についての知見の集積により、色覚検査で異常と判別される者であっても,大半は支障なく学校生活を送ることが可能であることが明らかになっていること、これまでにも色覚異常を有する児童への配慮を指導していることを考慮し、色覚の検査を必須項目から削除した」

 

 しかし、自分が色覚異常であることを知らないまま、例えば自衛官、警察官、パイロット、電車の運転士、飛行機の整備士などを夢見て育ち、入職寸前で門前払いを食ってしまうというケースがいくつも出現しました。

 

 そして、平成26年4月30日文部科学省通知により、児童生徒等が自身の色覚の特性を知らないまま卒業を迎え、就職に当たって初めて色覚による就業規制に直面するという実態の報告や、保護者等に対して色覚異常及び色覚の検査に関する基本的事項についての周知が十分に行われていないのではないかという指摘があり、以下の条件で、色覚異常及び色覚の検査が実施されることになりました。

 

1 学校医による健康相談において、児童生徒や保護者の事前の同意を得て個別に検査、指導を行うなど、必要に応じ、適切な対応ができる体制を整えること、
2 教職員が、色覚異常に関する正確な知識を持ち、学習指導、生徒指導、進路指導等において、色覚異常について配慮を行うとともに、適切な指導を行うよう取り計らうこと等を推進すること。特に、児童生徒等が自身の色覚の特性を知らないまま不利益を受けることのないよう、保健調査に色覚に関する項目を新たに追加するなど、より積極的に保護者等への周知を図る必要があること。

 

  検査は、いろいろな点で描いた図面を見せて「読めるか」「読めないか」聞くものです。色覚異常があれば、健常者が読める図面が読めず、健常者が読めない図面が読めるようです。


 色覚異常は、主に性染色体の劣性遺伝により、男性で20人に1人、女性で500人に1人の割合で現れます。

 色が見分けにくく、赤と緑、赤と黒、ピンクと灰色などの識別に困難を生じます。

 6割以上は軽い症状とはいえ、有効な治療法がなく、近視や遠視のように眼鏡での矯正は不可能です。

 

 色覚異常があっても日常生活では支障がない人がほとんどですが、安全上の理由などで「色覚が正常であること」を求められる職業があります。

 

 飛行機や船舶の操縦士
 鉄道の運転士
 消防士
 フグ調理師などです。

 

 就職時に制限がない場合でも、向かない職業もあります。

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