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2018年バックナンバー

雑記帳

アメリカ、中国の「市場経済国」認定再度見送りへ

 平成29年11月30日、アメリカは中国の「市場経済国」認定を見送る方針を固めたと報じられました。

 

 中国はアメリカに対し、世界貿易機関(WTO)における市場経済国の地位を認めるよう要求していました。
 アメリカは中国に巨額の対米貿易赤字の削減を求めており、2国間関係の緊張や貿易摩擦の拡大につながる恐れがあります。

 

 米ウォール・ストリート・ジャーナルによると、アメリカは、平成29年11月半ばに市場経済国認定の見送りをWTOに通知しました。

 

 英フィナンシャル・タイムズは、習近平国家主席のもとで、中国が「(市場経済国とは)逆方向に進んでいる」とアメリカが指摘したと報じました。

 

 中国が市場開放や経済統制などの点で問題があると判断したもようだ。

 

 中国をWTO協定上の市場経済国として扱うと、中国製品の輸出価格が不当に安いかどうか判断する際に、中国以外の第三国の製品価格と比べることができなくなり、反ダンピング(不当廉売)関税などの措置を取りにくくなります。

 

 アメリカ政府は、平成29年11月に、トランプアメリカ大統領が訪中した際にも対米貿易赤字の削減を要請するなど、中国への圧力を強めてきました。

 

 中国は平成13年にWTOに加盟しました。

 15年間は「非市場経済国」の地位だったが、平成28年12月にその期限を迎えました。

 中国は「市場経済国に自動的に移行した」との立場を取っていますが、アメリカや欧州連合(EU)は「個別に判断する」とし、今も市場経済国と認めていません。

 

WTOの市場経済国と非市場経済国

 

 平成28年12月12日、アメリカとEUに続き、日本も中国に世界貿易機関(WTO)協定上の「市場経済国」地位を認定しないことを決めました。

 

 例えば、アメリカ、EU諸国、日本などは「市場経済国」です。

 

 市場経済国は、先進経済国やWTO(世界貿易機関)などから自由な市場経済を重視する国と認定された国のことで、価格・コストおよび投入が市場の需給によって決定されること、外貨両替が市場レートで行われることなどを認定基準としています。

 

 それに対し、WTO協定は「為替市場や生産活動を統制する国」を非市場経済国に指定します。

 

 市場経済国はダンピング率を計算する際、自国の国内価格と輸出品価格を比較しますが、非市場経済国は経済状況が似た「第3国」の国内価格と輸出品価格を比較します。

 

 例えば、中国の鉄鋼製品の場合、中国産より価格が高いブラジル国内価格と比較してダンピング率が算定され、容易に効率の反ダンピング関税が課されてきました。

 

 アメリカやEUなどで行われる反ダンピング調査で、中国が、容易に高率の反ダンピング関税が課される要因として作用してきました。

 

  中国は、2001年のWTO加盟に際して、加盟後15年間についてダンピング防止税や相殺関税等の認定について不利な条件となる「非市場経済国」として扱われることを受け入れましたが、この規定は加盟から15年後の2016年12月11日に失効しました。

 

 中国は、15年経過したから「非市場経済国」から「市場経済国」に昇格するという主張です。

 

 しかし、中国は「為替市場や生産活動を統制する国」ですから、当然、「非市場経済国」のままということですね。厚かましすぎます。

 

  中国は、WTO規定に基づき「必要な措置」を取り、合法的に権益を守ると強調しました。

 

  WTO提訴などの方法で強硬対処するということですね。

 

  また、中国は、他の国からの輸入規制手段や政策をとるということです。

 

 アメリカ、EU、日本などは「どうぞ、お好きに」ということです。

 

 中国の鉄鋼のダンピング輸出には、アメリカ、EU諸国、日本など先進諸国は、手を焼いているというのが現実ですから。

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