本文へ移動

2018年バックナンバー

雑記帳

米駐豪大使に太平洋司令官を指名

 トランプ米大統領は、平成30年2月9日、アメリカ太平洋軍トップのハリス司令官(海軍大将。62)を駐オーストラリア大使に指名しました。

 

 中国国営メディアが、平成30年2月11日、反発しました。

 

 新華社通信は、ハリス氏を「アメリカのアジア太平洋政策のタカ派(強硬派)」、「今夜にも戦争を開始する準備をしている過激分子」などと評し、強く批判しました。

 「様々な言動で太平洋を太平でなくさせてきた日系アメリカ人の海軍大将、ハリー・ハリス氏が、駐オーストラリア大使に任命されれば、アジア太平洋の平和と安定に悪影響を及ぼすだろう」

 

 トランプ大統領は中国の全方位外交攻勢に押され、アメリカのアジアの位置づけが狭くなると考え、中国牽制に向けてインド・太平洋戦略を打ち出しました。

 

 代表的な参加国はアメリカ、日本、オーストラリア、インドの4ヵ国です。

 

 新華社通信は、「アジア太平洋地域をよく知るハリス氏を駐オーストラリア大使に指名したことは、疑う余地なくこれを考慮したもの」と指摘しました。

 

 特にハリス司令官は、周辺国と領有権問題を抱える南シナ海で中国が軍事行動を行い、人工島に軍事施設を建設することを強く批判してきました。

 

 ハリス司令官は、中国を「南シナ海の挑発者、拡張主義者」と批判し、「南シナ海で中国軍の軍事行動を制圧しなければならない」と主張しています。

 

 ハリス司令官が率いる米太平洋司令部は、中国の領有権主張を無力化するために中国の人工島の近くを米艦船が横切る「航行の自由作戦」を行いっています。

 

 オーストラリアは、平成29年9月から11月に、南シナ海や日本、インド、フィリピンなどアジア13ヵ国の海軍が参加した「インド・太平洋合同軍事演習」に初めて参加しました。

 また、平成29年末に発刊した外交白書で中国の南シナ海の軍事化を批判するなど、アメリカのアジア同盟の役割を忠実に果たしてきました。

 

 これに対して中国が強く反発し、中国とオーストラリアの関係は現在、最悪の状態となっています。

 

 オーストラリアはオバマ政権末の平成28年9月以降空席だったアメリカ大使にハリス司令官が指名され、歓迎しているようです。

 

 アメリカは、最近、国防報告書などを通じて、中国を自国の安保を脅かす戦略的競争者と規定しています。

 アメリカはオーストラリアの北部海岸で毎年繰り広げてきた米豪合同軍事演習の規模を平成30年3月に大幅に拡大する一方、中東地域の米軍を減らし、北東アジア配備の海兵隊を増やす計画です。

 

 ハリス司令官に対する中国の敵愾心は、彼が日系アメリカ人という点も作用しているのかもしれません。

 日本で生まれて幼い頃にアメリカに移住したハリス司令官の父親は在日米軍の士官でした。母親は日本人です。

 

 日本は、アメリカの中国牽制、包囲戦略に最も積極的に参加しています。

 

 新華社通信は、以前にも「南シナ海でアメリカの攻撃性が突然強くなった背景に、ハリス司令官の血があることは無視できない」と主張していますた。

 

 平成29年4月、アメリカで開かれた米中首脳会談の時には、中国が会談前に崔天凱駐米大使を通じてハリス司令官の交代をアメリカに要請したという説が流されました。

 

 ただ、中国としては、ハリス司令官がアメリカ太平洋軍トップの座をおりるのですから、何の問題もないと思うのですが、いかがでしょう。

TOPへ戻る