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2018年バックナンバー

雑記帳

ジェネリック薬品

 「ジェネリック薬品」が普及してきました。

 

 ジェネリック薬品とは、先発医薬品と成分や規格が同じとして承認された医薬品(後発医薬品)のことで、「ゾロ薬」とも言われます。

 

 先発医薬品はその効果や安全性を臨床試験で証明し「新薬」として承認・販売されるまで多くの時間とコストが必要となるため、開発した製薬会社が製造する場合は、膨大な開発費用が上乗せされ、それ以外の製造会社が製造する場合には、膨大な特許費用やライセンス費用が価格に上乗せされ、おのずと値段が上がってしまいます。

 

 先発医薬品の特許期間が切れた場合どうなるのでしょうか。

 

 先発品の特許等が切れた後に発売されるジェネリック薬品には開発コストがほぼかかりません。

 

 そのため、先発品に比べて大幅に値段を下げることができるといわれています。

 

 先発品とジェネリック薬品を上手く使い分けることで、患者の医療負担を軽減し、国の医療費自体も抑制することができるのではと期待されているとされています。

 

 ただ、ジェネリック医薬品の品目数は、日本ではわずか67%(平成28年)のシェアにとどまっています。

 

 政府は、医療費を抑制するためため、薬剤師に「ジェネリックが安いですが、純正のお薬にしますか」ということまで言わせているなど躍起になっているそうですが、患者がジェネリック薬品に変えようとはあまりしません。

 

  まず、ジェネリック薬品は「薬の名前が違うだけで、中身は同じ」といわれていますが、本当に一緒という保障がありません。

 

 また、ジェネリック薬品の成分が同じといっても、カプセル、錠剤、粉末の製造方法でも、薬品の効き方に差がある場合もあり、純正薬品の方が、長い経験とノウハウを持っていますので間違いがありません。

 

  医師も、ジェネリックを信頼してない可能性もあります。また、ジェネリック薬品の「せい」でなくても、「ジェネリック薬品のためおかしくなった」というクレーマーがないとはいえません。

 

 さらに、ジェネリックの場合、原材料であるバルクの生産は発展途上国で行われることが多く、その製造過程に製品の質の担保がないともいわれています。また、ジェネリック薬品の場合、薬価改訂後市場から無くなる率が高い、すなわち「売りっぱなし」ということがあります。

 

 ただ、一番大きな理由は、医師、薬剤師にとっても、高い純正の薬品の方が、安いジェネリックより利幅が多いことにあるのは当然です。

 

 本来は、開発した製薬会社は、既に長期間製造してきているのですから、機械設備も充実しているでしょうし、製造・梱包などのノウハウも蓄積されているはずです。

 

 理論上は、これから製造を始めようとする製造会社は、機械設備に投資して、製造や梱包など、さまざまな試行錯誤を繰り返していくわけですから、開発した製薬会社の方が、むしろ安く製造することができるはずです。

 

 通常は、とっくの昔に、開発費用は回収済みのはずですし、一部回収済みでなくても、全く同じ条件での販売ということがなければ、値下げをするのが当たり前です。追加費用(marginal cost)は小さくてすみます。

 

 開発した製薬会社は、値下げはしませんね。

 

 日本人のブランド好き、純正品神話がある限り、値段を安くする必要は全くないからです。

 

 逆に、政府が、後発薬品メーカーに補助金でも交付しないと、ジェネリック薬品は普及しないでしょう。しかし、そんなことは不可能です。

 

 普通の人は、純正の薬品もジェネリック薬品にするかは「ふところ」次第となります。

 

 金銭的に余裕がなければ、ジェネリック薬品の一択ですが、金銭的に余裕があれば、純正の薬品の信頼性をとるか、ジェネリック薬品の安さをとるか迷います。

 

 これに対し、生活保護受給者は、通常医療扶助を受けていますから、病院や診療所に行っても、診察費や薬代はかかりません。

 

 ですから、医師は、純正の薬品を処方し、生活保護受給者は、純正の薬品を当然の顔をして受取ることもあり、ジェネリック薬品の使用率は、平成28年度で70%弱と、むしろ平均より高いのです。

 

 おかしいですね。

 

 厚生労働省は、平成30年1月27日、生活保護受給者について、医師が問題ないと判断すれば、先発医薬品より安いジェネリック薬品を原則使用することを生活保護法に明記する方針を固めました。

 

 改正案では「原則として後発医薬品による」とします。

 

 受給者の高齢化に伴い増え続ける医療費(医療扶助)の抑制が狙いで、今国会に同法改正案を提出し、平成30年10月の施行を目指しています。

 

 平成27年度の場合、生活保護費約3兆7000億円のうち約1兆8000億円と最も多く、厚生労働省は、抑制に向けて、受給者の後発薬の使用割合を平成30年度中に80%以上にする目標を設定しています。

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